【真・女神転生デビルサマナー】雇われサマナーキル夫6
- 2018/09/10
- 12:25
289: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:00:04 ID:Ubww7uhA0
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290: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:00:28 ID:Ubww7uhA0
,- ‐‐ - 、
r‐イ: : : : : : : : :`,
i /○ ○: : : : / /` 、
i_ _ _ : : : : : : :{ / : : / チミたち、バレンタインのチョコはもらえたかい?
`,_ _`=-: : : :| ノ : : /
i: : : : :_: : : : :'y´ : : : / >>1は義理一個貰えたよ。ゼロ個じゃないのは久々だね。
`-‐、´: : : : : : : : : /
ノ : : : : : : : : i´ ま、相手は友達の妹の小学生なんだけどね。女子にカウントしていいのやら。
/ : : : : : : : : : :|
i: : : : : : : : : : : ! それじゃあ初めていこうか。
. (`ー‐- -‐ _}
293: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:06:23 ID:Ubww7uhA0
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│ 第六話『阿修羅の嘆き』 │
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294: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:06:42 ID:Ubww7uhA0
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薄暗い路地裏に湿った音が響く。
娼婦のふりをして路地裏に誘い込んだ男は、既に息絶えていた。
最初に首筋に齧り付き、そのまま引きちぎった。
男は悲鳴を上げることもなく痙攣し、しばらくのたうち回った後で動かなくなった。
自分は、動かなくなった男の服を手で破り、その肉を貪り喰らっていた。
普段なら鉄の味としか表現できないような血の味が、なぜかたまらなく甘く感じる。
ぐにぐにとした肉を食いちぎり、口の中で咀嚼するして飲み込む度、
根拠のない多幸感が脳を這いまわる。
なぜ、こんなことをしているのか。
それは四日前のことだった。
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295: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:08:55 ID:Ubww7uhA0
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296: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:09:16 ID:Ubww7uhA0
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パソコンにこのメールが届いてから、早一日が経っていた。
メールの内容はこうだ。
四日前、東京にあるガイア教団の研究施設で、実験体の脱走事故が発生。
脱走した実験体が撒き散らしたウイルスが近隣住民に感染し、大騒動に発展。
一応の収束は経たものの、感染の容疑がかかっている者のうち十五人が三津井市
方面に逃亡したとのことだ。
近隣のサマナーはこれに対し、事態の収束に当たってほしいというお達しが
DDSNET経由で出されていた。
もちろん、近隣のサマナーには喜留夫も含まれる。
だが、喜留夫は「はいそうですか」と刀と銃を持って出かける気にもなれなかった。
この流出したウイルスというのが問題なのだ。
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297: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:09:37 ID:Ubww7uhA0
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ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
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その名はアートマ。詳しい原理は明かされていないが、体内の生体マグネタイト
を活性化、変質させ、人を悪魔へと変貌させる悪魔化ウイルスである。
メールには逃亡したとされる十五人の顔写真と氏名、特徴が載せられていた。
つまるところ、巻き込まれた一般人十五人を皆殺しにしてこいということである。
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298: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:09:50 ID:Ubww7uhA0
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299: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:12:03 ID:Ubww7uhA0
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. / (ー) (ー)\ ……だそうだ。既に他の一般人への被害も出ているらしい。
l^l^ln (トェェェェェェェェイ)\
ヽ L \ェェェェェ/ | なにせ悪魔の実体化には生体マグネタイトが必要だからな。
ゝ ノ /
/ / \ そうなれば必然的に、悪魔か人間を襲うことになる。
/ / \
. / / -一'''''''ー-、. いくら人間の意識が残っているとはいえ、飢えには勝てん。
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
_\ ヽ _,,,ィ
-ニ,,__>` ィ _,., , / .,  ̄ . /
/ァフ _,-ァ // _,-彡イ/! /イ/ , .ト、 ヽ ー≦‐ァ
./ レ´ /イ .//' ./ /イ ! l .ハ ト、.| ヾ,ハ`<,ィ <_
__,,, イ ! i./ .|// ,ィ ', |./ ',代. 、 !ハ\ _ヱ,,ミ:、`
\ー--:::::-:ハ.リ レーァ /;ィ ./ Ⅵ !' ヽ、',| ⊥,_ヽ彡≧ヽ
`フ7_ノ:.イ| /:〃!// .| i i/:ヾ .、 ,、ヾヽ.、-イハイ__
レ1:::;:::::_i::lⅥ:./`|メ.、|ハ/!::ト;:l 代:、トヾ::`ー`::ハ ヽイ
|;ヘ:::バ::ト、レ ーモテミ`l::!::| Ⅵ_,ゝ:|-Ⅵ::::::::ト、| .ドヽ となりゃ、人間を襲うだろうな。
∨ ,ト;|  ̄´ ';:!:「´ヾ,,__ヾ .jイ:;:::ハ、 | `
戈;ヘ! `ヾ.  ̄ .ノ:イーァ゙ .| 悪魔相手じゃ返り討ちに遭う危険性もある。
个ミ、 /イリ |
/::::ハ. 、 _ ./イノ | 力が強い奴なら別だろうが、個体差があるんだろ?
厶イ;∧ /イ{ !
_>ニ二|:!:::|\  ̄ ニ ‐- ,イ;:/ ` `、 で、被害は。
/..:´::::::::/イ:::| \ ,イ/イ\ 、: ヽ
/イ:::::::::::::::::::l;ヘ| ミ\ _,..:< : : ハ|::::::ヽ `: \ 「見つかってるだけで六人食い散らかされてる」
.`>ミ 、::::::::::::::::.| ミミ`¨´ : : : : : : i ::::::::::::::ゝ, \=ミ;.、
ヽ 、::::::::/ : : : : : : : : : : l::::i:::::::::://ヘ \|:.:\
_,,..-‐'"´:ヽ '::;::ハ : : : : : /: : :ヽj::::::://: : ヘ .!:.:.:./\
_,,,..-‐''"´:::::::::::::::::::::ハ ';:::::ハ , /: : : : /:::::://: : : : ヽ |:.イ. \
"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::l:. ', :/: : : : /:::/イ: : : : : : ヽ | ヽ
300: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:15:48 ID:Ubww7uhA0
, へrァォ7フx- ´  ̄ - 、
/ イゞン7ハ__ ヽrァ7、__
/ i ゞアン'ー, vシ} 、
i ト、 // , / ド' i
| | 、 /./ /, //, /|// .| ドミ、 |
|,ノ , .| V /////r'/ //| | | | \ .|
// | } .. |rァォメヾ/ノ//-ト|、| /ト、ヽ ` 、
// , ' /... . トK乃ッリ) . ,r=ォx'ノイ | ハ ) 思ったより少ないわね。
// /,'/ゝi ... トゞアンツ 弋リ/.| |/ 人メ、
/ / ,',' .,| \...)) . , / .| |, イ/\ 、 人の意識と悪魔の飢えが拮抗してるってことかしら。
///ヽ.// ,ヘゝ 、 \ ‐- イ/| | | \ \
. (/ // 、ノ ̄ へ⌒ヽ、 )_. 、_ .ィヘ ノノ |, ゝ、 ) .) でも、飢えに負けた者がもう出始めているのも事実よね。
ヘ \ | | )\ \_ソ/ミ,',ニニシ ゝ、 l \/ /
\ \ノノ/ く´ _ ., …´/ y>ul--‐‐''¨.ヘ\. / /
) Y , イニ____,ノ !乂ゝ__ゞ__! ヽ i ヽ,/ / \
,/ / / | しー io .l > i ,.l ( l ( ( )
/ , イ i 、 `ヽ⌒ 、,, .′′'^^_"_^i.. \ \ /
/ \ ` 、 ゝ ノ イ ` ~ ′ ) )'
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喜留夫は行動を開始する前に、仲魔たちを召喚して話し合いをしていた。
ヨシツネなどは元を辿れば人間だった身だ。もしかしなくとも反対する可能性はある。
しかし、ヨシツネは意外にもすんなりと承諾した。
「確かに、そいつらは哀れだよ。あまりにもな。だからといって、周りの人間を
食っていい理由にはなりゃしねえ。どうしようもない理由があれば、何したって
許されるってのはクソ野郎の言い分だ。そいつらは哀れだが、同時に許されない。
俺は乗るぜ、旦那」
メイヴとパイモンも同様の意見だった。
一応、後でファフニールを人気のない所で召喚して意見を聞いてみたが、
「悪魔が人を喰らうことの何がおかしい? そして、デビルサマナーが悪魔を
討つことの何がおかしい。我は肯定も否定もせぬ」と悪魔然とした答えだった。
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301: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:17:17 ID:Ubww7uhA0
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/ \ 既にメシアサマナーも動いている。
/(● ) (● ) \
/ (トェェェェェェェェイ) \ 今回はそいつの指揮下に入ろうと思う。
| l^l^lnェェェェ/ |
\ヽ L / そんじゃ、準備済ませて合流すんぞ。
ゝ ノ
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元一般人十五人の皆殺し。
自分が彼らの立場であったなら、と思わずにはいられないが、
それは綺麗事というものだ。
人の命は尊いと言うのは簡単だが、それを理由に、目の前で行われる人食いを
阻止しないわけにはいかない。
自分はデビルサマナーなのだ。人を守り、悪魔を討つ役目がある。
そう、自分に言い聞かせるように、喜留夫は懐の刀を撫でた。
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302: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:17:32 ID:Ubww7uhA0
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303: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:17:44 ID:Ubww7uhA0
~Tips~
『メシア教会』
メシア教。ユダヤ教から派生した宗教団体。
表社会での影響力も強く、悪魔の存在を認知し、専属のデビルサマナーを戦力として保有している。
救世主(メシア)の出現を信じており、その力によって世界が救われることを信じている宗教。「信じるものは皆救われる」と謳う。
秩序を重んじ、すべては法の下に管理されるべきであるとしている。
完全なヒエラルキー階級の下に成り立っており、秩序と平和はあるが個人の主張はないに等しい。
『メシアサマナー』
メシア教会に帰属する悪魔召喚師。
メシア教会からの依頼のみを受託するサマナーたちで、内部ではテンプルナイトとも呼ばれている。
同じメシア教の人間からは英雄視される一方で、他のサマナーたちからは疎ましく思われている。
主要なメシアサマナーは主に天使を使役するが、そうでない裏の仕事を遂行する者はそうとも限らない。
何事も建前と本音があるということである。
『ガイア教団』
ガイア教。土着宗教から派生した宗教団体。
秩序や階級に囚われず、自然と一体化することを重要視している宗教。
「生きる者はいつか死ぬ。形あるものはいつか壊れる」と謳う。
差別も区別もなく、管理を否定し全てのものと共存しようとしている。
そのため現実的かつ実利的で、力のない者に価値を見出さず救いの手を差し伸べない。
基本的に実力至上主義の団体で、自由はあるが秩序は存在していない。
悪魔の存在を許容し共生していくことを考えているため、メシア教とは真っ向から対立している。
教徒の中には暗殺を生業とする者もいる。
現代ではガイア教団に帰属しているヤクザや半グレ集団も多く、しばしばメシア教会との抗争が起こっている。
メシア教の戦力にはデビルサマナーが多く含まれているが、ガイア教はサマナーの戦力が少なく、フリーのサマナーを雇用することが多い。
304: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:27:27 ID:Ubww7uhA0
\ l , 、,.
\ i ̄ ´ ,. ヽ / ./ }
, -,.∧ 、-<_ / ' / ./ ,. 'ヽ
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ニ\ /::::::/./. ヽ. / \\ , ´ , ' ,. ′,.' / !
ニニ\ /:::::::::/::.. 、 /ヽ \.>ヽ ゙/ _... ´ / .'´ヽ./
二二ニヽ/::::::::::::::;.:::::::::. ` // / .; ;. ゝ '"__ 丶./ ,./ .'/
ニニニニニヽ:::::::::i:::::::::::: ,.. '"::::/ ; ; .:. ;. / //  ̄\ ./ .' ;
二ニニニニニヽ::::/:::::::::::: /::::::::::::::/ _ , i .:::. i ; // ! ,.' /
ニニニニニニニヽヽ:::::::::/、:::::::::::::;:'ニヽ 「.! ヽ,.= "l ̄ ̄l.! // ,' ′ /
ニニニニニニニi >゙}ヽニニ\::::::/ニニニl ,.-' .}、ヽ.l l l liヽ/ / . '
ニニニニニ! ̄ ̄ ハ: \ニニ\{二ニニl / l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l‐-=.._/ '
二二二ニニl l l:::. \二ニニニl、./ /.l _ l--、 ,. '´
二二二ニニニl l !:: \二二ニニV l.l l ,. -― ´ : \
二二ニニニニl l .l: ./二ニニニ/ .. - '", ,. }
二二ニニニニl } ,! ./ニニニニ,.' ´ ´ _,. _,.. ー、 ノ
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時刻は午後八時を回っていた。
既に日は落ち、町にはネオンサインが灯りはじめる頃だ。
そんな中で、一人の背の高い男が駅前広場の喫煙所に立っていた。
黒髪にサングラス、スーツ姿。そして何よりも、とにかく目立つ包帯尽くめの
巨大な十字架。恐らくこの男がメールに記載されていた人間に間違いないだろう。
今回は、メシアサマナーであるこの男の指揮下に入ることになる。
なるのだが、その顔を見て、喜留夫は踵を返しそうになった。
店の扉を開けたらいかにもといった風貌のヤクザたちがたむろしていた時と
似た感覚だった。いや、それ以上かもしれない。
端的に言えば、死の予感だ。
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305: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:27:47 ID:Ubww7uhA0
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. ,州州州州州州州州州州州州i≧、
. .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
,州州州州州州州州州州州州州州州il
. i州州州州州州州州州州州州州州州il!
V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.
. 州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
V州州州州、ヽゝ!州l l!!' !|//ヾl.l i,' / よお。話は聞いとるで。
V州州州州ヽ 〈 V l! `´ ゙、!/ /
. V州州州州! ー , ' / .,イ あんたが加賀で間違いないな?
,-、彡州州州i! ヽ ,.- 、 =/ ./==
,  ̄ ―-lリ._l!. 、 丶. 丶. i./ .{ ! 「ああ」
. ,.‐-'__ ‐ .._ > . ヽ 丶. 、 .}
. !三三三三ニニ=- .._ ` _>_i ; ,'.! さよか。ほんなら話は早いさかい。
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._ ` ‐ 、 ゙ ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \ / 早速仕事の説明といこか。
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_ {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、
【超人ニコラス・D・ウルフウッド Lv74】
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処刑人ニコラス。ニコラス・ザ・パニッシャーと呼ばれるこの男は、
数いるメシアサマナーでもトップクラスの悪名を持っていた。
たった一人でガイア教団の支部一つを壊滅させたという話もあれば、
連れている悪魔は辺り一帯を焼け野原にする熾天使だという話もある。
まさか日本に来ていたとは。
ウルフウッドは煙草を吹かしながら、淡々と説明を始めた。
なぜ関西弁なのは理解に苦しむが、それは一旦置いておくとしよう。
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306: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:30:51 ID:Ubww7uhA0
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. l! l/i////' ヽ \//!'////-////-//'‐-/'_ ,'゙///// !// !' !//// '//
. ! !! ゙,// ,\ ヾl////_////,,.l'/_ ̄"''==ェ///./ l// !.l'/// /'/
_.l!-Ⅵ_― ''''"" ̄ー ' !//ヽ l/ マ了,示ァl///=z、.__l'/ .!l/// //,.-z=
_.-ニ/  ̄""'''''''' ¬== ヽ ` 、 __゙ー‐'" !'//` 、 ̄l'! ̄ '.!// ヽ/'゙´ 顔写真は?
ニ/ _ _ ,..∠______i//__ |!- - !'/_,. ' __
´ /  ̄ "''''' i―‐/二二二二ニニニニl'/ニニニ‐ 、 _!'___ , '"ニニ 「プリントして持ってきてある」
.,/  ̄ |ニニニニニニニニニニニニニニ二二二二二ニニニ
_./丁 Ⅵ7T ''''' "´ l二二二二二ニニニニニニニニニニ/ ̄ ̄ヽニニニニ こいつとこいつ、あとこいつは処理済みや。
/ ー- _V/,! .! .l二二二ニニニニニニニニニニニニ! i ::::!ニニニニ
/ ( _.) i l二二二ニニニニニニニニニニニニl | :::::!ニニニニ 残りは他のサマナーが探しとる。
, ー- ..,, __ .ノ ' 、 .!二二二ニニニニニニニニニニニl l ::::::!二二二
/ .: .{/,ヽ!二ニニニニニニニニニニニニニl ! :::::::!ニニニ んで、要注意なんがこいつや。
´ ::. V//lヽニニニニニニニニニニニ=‐" l ::::::::ヾニニニ
. ' ヽ :. lヾ'∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l ::::::::::::: ̄ ̄
/ 、 l l'/∧
ヽ l l//∧
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ウルフウッドが写真の上でバツ印を指で描く。
処理済み、ということは、既に殺害済みということなのだろう。
そして、残る中で要注意だとされたのが、年端もいかぬ少女だった。
歳は中学生くらいだろうか。大きな目と幼い表情が可愛らしかった。
「がさい? ちうんか。我妻由乃。アートマに感染した容疑で確保に向かった
メシアサマナー五人全員が食い殺されとる。ちょっとした魔王くらいには
構えとったほうがええ」
個体差があるとは聞いていたが、まさかこんな少女が。
喜留夫は驚きを隠せなかった。それを見抜いたらしく、ウルフウッドは
こんな質問を投げかけてきた。
「可哀想やと思うか」
「ああ。でも、人食いを許すわけにはいかねえよ。大丈夫だ、そこらへんの
分別はついてる」
「さよか。実はな、ワイもごっつ胸糞悪いねん。せやかて、このまま野放しにする
わけにもいかへん。誰かがやらにゃあかんのや」
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307: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:31:04 ID:Ubww7uhA0
/:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :、_
/:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::、ヘ
; :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: トミ 、
':: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ∧ `ヽ
/:: :: :: :: :: :,ィて、 ) :: :: :: > ´ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :.
,:':: :: :: :: :: :: | r >/;:<ミx、:: :: /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :〉
,ヘ /:: :: :: :: :: :: ::_} l )'/:: / `ヾミx、_:: /. イ:: :: :: :: :: :: /
/ ∨:: ::_::∠::-‐ 、 ` ; : / ´ ヾミィ77ヽイ:: :: .ィ:: ,:: /
_/ V´ Y |: / ////,イ> ´/'イ:; ' ……あんたとは馬が合いそうやな。
_.. ´ 、 / !/ ` </| / 〃 ....,:.:´, .
>.. \ { ′ ! ....:.:,, .. どや、終わったら一杯やらへんか。
..</////`ヽ \ i、 / , ):.:.:ノ .
/ ///////////\ \ i,i,ヘ _ノ ̄`′ (:.:.:ソ: . 「いいぜ。あまり旨い酒にはならなさそうだが」
/////////////////ヽ \ へ-.、 , ´`ヽゝ ,ふ´..
///////////////////∧ \/ ヽ\_ / 、 _..ノ:.ノ 飲んで忘れんさいちうことや。
////////////////////∧ ヽ /| ` ~´
/////////////////////∧ ∨ ! こんな仕事、飲まずやってられるかいな。
//////////////////////∧ /〉.、 |
,///////////////////////ハ / 〈 ∧}
308: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:31:18 ID:Ubww7uhA0
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309: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:31:30 ID:Ubww7uhA0
~TIPS~
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. ,州州州州州州州州州州州州i≧、
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/三三三三三三二二二ニ=‐- ._ ` ‐ 、 ゙ ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \ /
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_ {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、
【名前】
ニコラス・D・ウルフウッド
【種族】
超人
【レベル】
74
【属性】
Neutral-Law
【相性】
精神・神経・魔力・破魔・呪殺無効
【能力】
力-B 魔-E 体-A 速-B 運-E
【スキル】
狙い撃ち 刹那五月雨撃ち ミサイル弾 暴れまくり デスカウンター 大治癒促進 食いしばり
【装備】
『パニッシャー』
十字架型の巨大な鉄塊。地上最強の個人兵装として名高い。
COMPとしての機能も持っているが、武器としての機能に圧迫されているため、使役できる悪魔は一体までとなっている。
ミサイルランチャーと機関砲を内蔵しており、戦車に用いられるような装甲に覆われているため耐久性にも優れ、
凄まじい重量から鈍器としても使用できる。
『白い拳銃』
大口径の改造拳銃。装弾数は十五発。
【備考】
三津井市にて活動するメシアサマナー。海外ではニコラス・ザ・パニッシャー、処刑人ニコラスと呼ばれていた。
普段は牧師を名乗っており、携帯懺悔室といった珍妙なものを持っている。
パニッシャーと呼ばれる十字架型の巨大なミサイルランチャー及び機関砲内蔵のCOMPを所持している。
使役する仲魔は大天使ミカエル。
年齢不明、人種不明、生年月日不明、血液型不明、出身地不明。
310: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:33:19 ID:Ubww7uhA0
_ , - - ― ´  ̄ ` - 、_
_ _ γて_,、// ― 、―yミXヽ_=r= 、
//| Kr-、|ヾ、 >ロ><ァトミヽ
/ Xヾ彡 // | ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
| | |ト`´ノ/ |..| .| | | ゛ て‐<ゝ` |
| | |`、/ | / | | .ハ| ヾ | ヽ |ヽ ||(` |
| | /ヘ/ | / .| | | |ヽ `、_._|_ | li `、\|| | よくあんなの担いでて職務質問されないわね。
/ | .ハ .| | |大-.| | .|、 .|ハ | | | | | || |
,/ /// || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| | | | 「日本政府はメシア教会にべったりだからな。警察にも手が
/ / /イ | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | | | .|
/ // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ 弋;;ソ / .| .| ヽ .| 回ってるんだろ。ほら、救世党ってあんだろ? あれのバックも
/ / / / | | | ヾ|ト, ゛´゜ ノイ | | | .|
/ / //イ .| | | ヽ) > _ _ U ノ彡/ / `、ヽ メシア教会だ。他にも色々金出してるらしいぜ」
../ / / | | | | | |ノ i |>、 ` ´ /イ / ./ / `、\
/ / イ / | | | | |l y | | r-ノ> - < |/ / / ヾ` この国、大丈夫?
| | |l .. || | | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
| | || | |ヾ X .| .| |_ , )、ソ ( ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ `、
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴ、ヨシツネ、パイモンを召喚し、周囲を警戒しながら駅前のモールを探索する。
この方向はまだ探していないと、ウルフウッドに指示されたからだ。
当のウルフウッドは「隠れられそうな場所を探してみる」といって姿を消した。
元は東京に住んでいたとなれば、住宅街の家の中とは考えづらい。
となれば、そのあたりをふらふらと彷徨っているか、もしくはどこか物陰にでも
隠れているかのどちらかだろう。
「ねえねえ、それってなあに?」
パイモンが肩に手を置いて、ひょっこりと顔を出してきた。
喜留夫は手元に目を落とす。今回のために作成された、特殊なエネミーソナー
が入ったUSBメモリだった。あの後でウルフウッドに渡されたのだ。
早速スロットに差し込み、エネミーソナーをインストールする。
アプリケーションを起動すると、COMPの画面に表示されているエネミーソナーと
入れ替わる形で表示された。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
311: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:35:07 ID:Ubww7uhA0
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_ :; :...... _|/ | |.:.:.:.:.:.: ____:;:; | | |
:.:\、/゛⌒.. |:.` |ノ|.:.: .:イ イ 〕 | | | x────────
......./^\____| , | |イ イ _ |..:;| | | // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
;:;:;...... ::. :. | :.:|ノ| ̄ ̄| Y´}!ヽ |..:;| | | / ^────────
.:.:.:.:.:.:. __ |:.:.:..... | | |〕|ヽiレ'} |..:;| | |  ̄| ┌──────‐
;;; ' 、 -';;/ : |.;.;...... |ノ| |〕|ィiト、| |..:;| | | /| r、 │ |
__/ヽ;;;;;;L.: | :.:, . | | |从 |i^リ |..:;| | | / |┤ \| |───────
7、ィ;;;;;/-i|..:.:.:| ;|ノ{ |  ̄/ | | | r──‐ァ.i 、イ 丶 | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
─‐イ /lil|.:.:.:.|: .: .:. 乂二) | // | | | 乂__.:.:/::::レ≪ ̄ ̄\ | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
 ̄]lll|/ lil| , . |: .: .: ..:...」___L// / | | | /ハ、 y^.:..く.......| 〈二二二二二二二二二
_〕ll| _/ii|.:;;;''|.:.: : :..:イニニニニニニ」 /-_-| | | 〈.:.:.:.:ヽ_ /^ヘ=-{::::::| | |───────
i!ii!i|ll|i!i!i!i| | : : | .: /:_:〕 ニニニニニ イ _-_-_|,,__| |_____,」‐‐「^7.:.:.:/ .:.: \| | |
i!i!ii|ll| 、ィ7i|__|/_:_:_ ヘ三三二/ _‐_-_-|_:_:_:.} }_:_:_:_:__,/^^^}! /.:./:/.: .:.:.: | | |───────
 ̄ 「|イN|i!|_:_:_|_:_:_:_/  ̄ ̄ ̄ _-_-_-_- |:_:_:V ∧:_:_:/.:.:.:./:.:.:l:.:.:.:.`ヽ:.:.:/.:.:..:.:.: :| | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
ニ〕ll|. |ll|_:_:_|_:_/:_-_-_-_-_-_-_-_-_-_''|:_:∨ ∧_:_:ノ:.:./:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.∨.:/: :.:.:.| | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
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i!ii!i|ll|i!i!i!|l!|_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_ ̄ゝイ  ̄{.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:. :.:.:.ヽ:.}:.:.:. :..ヽ| | |───────
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i!ii!i|ll、ィl「-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_\.:.:.:.:.:.:.:.:/:. 〉.:./_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-| |───────
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モールを抜け、住宅街へと入る。
そこで、エネミーソナーに反応があった。
「いたぞ」
ジャケットの裏側で拳銃を抜き、サプレッサーを装着する。
流石に夜の住宅街で、異界化もしていないのに銃声を轟かせるわけにはいかない。
いつでも銃を抜けるように懐に手を突っ込んだまま、反応のある場所へと向かう。
途中で住宅と住宅の隙間というべき細道に入った。
そこに、それはいた。
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312: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:35:31 ID:Ubww7uhA0
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∧、 .
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ノ、─=≧、
/ `ヽ/`ヽ
イゝ i! ',
/ く ヽー-、 ヽ i! ,ヘ
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ゝヽj | 〉リ`ヽ X 〈 |ー'
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レ i!{i!ji!ji!ji!ji!jリ:}| ∧
く \ゝjiリi!リi!リi!リノリ リ
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', >x、\j__j 彡' 〃フノ|
', `¨¨¨¨/ // ノ
ゝー==ニニ≠彡' / /ゝ' (
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,、 r、_ \/ 彡'/| ノ、 // / \
r─彡' ー==z__ x< E三≧\/三三少'!__L .レ/ j { / ヽ.
-=ノ >xイ // ヒ三三| |三三 少' レク | / | L!イ \
つ ≦} レ' レ'ノ\\三ヨ |三 少' ノ/ ゝ j/ ヘ
丶、 |\∨ 厂-' ≧、 少' イ / ハ
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人の形をしたものがうずくまっていた。
魚人、とでも言うべきだろうか。
体格自体は筋肉質な人間なのだが、ところどころに鰭がついており、
手にはぬらぬらと光る鋭い爪がある。
鋸のような歯を剥き出しにした口に、異様に細い目は、今まで見てきた悪魔の
中でもかなり凶暴な部類だった。
唸り声を上げながら、悪魔がこちらを見やる。
喜留夫たちに気づいた悪魔は、身構えることなどせず、うずくまった姿勢のまま
跳躍し、飛びかかってきた。
狙いは喜留夫だった。躱そうと後ろへ飛び退くが、間に合わない。
腕を前に出し、防御しようとする。が、その防御のための腕に、
悪魔は口を開き齧り付いてきた。
牙が服を引き裂き、肉に突き刺さる。
歯を食いしばり、懐から抜いた銃を悪魔の腹の辺りに突き立て、
引き金を引いた。弾倉が空になるまで撃った。
そこまでしてようやく、悪魔は少しよろめき、喜留夫の腕から口を放した。
悪魔の胸部に蹴りを入れ、その勢いで後ろへと跳ねる。
倒れ込みながら弾倉を交換し、再度構えなおす。
「ヨシツネっ!」
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313: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:35:48 ID:Ubww7uhA0
,ィ /!,/
. /l ソ`/ l/彡イ__ _ _
トl /レ / ̄/:::l:::::::::::`、
ト- / ̄:::::::::::l::::::::::::::::ヽ
ゝ //:::::::::::::::::::〈:::::::::::::::='ヽ あいよ!
' y,ヘ.\:::::::::::::::::::::::\::〃:, '´、
.ハヽ.、 `-:、:::\::::::::::::ヽ:/ ヽ
__」 ヽ \ ` -、\:::::::::::ヽ 、丶
<〃ヾ彡:::::l ` 、 ` 、ヾ::::::::ヾ ` ヽ _ --─┬─ 、
ヾ〃::/´ヽ ` 、.ヽ::::ト、ゝ__,'ユ/:::::::::::l l〃//二 ヽ
` 、.‐-\ヽ =- 、 \ ヽ.\、\  ̄ 〉:::〃///_三彡
__ ` 、 `.l _ コ、 丶.ヽ_ ` ヽl /:::///´
/  ̄ ̄` ‐-=! /三三三ヽ \ `二彡/::::::/
l イ`モ三三三ニゝ `  ̄ /;/三ゝ-、
ヽ 、 、 / リ ̄`----─'´ ̄`‐---‐'´ `モ/ γ ヽ_
ヽゝ \ / l l !ヽ ゝ_l__/〃、
ヽ:〃:癶__ ! / l:::::ヽ ` ` 、
ヽ〃/U`ヽ_ // ノ:::::::::ヽ ` ` 、
ヽー彡::/ ̄`‐------_--癶──ニニヽ::! ` ` 、
\:::::/::::::::::::::::丶::::/llll  ̄!lllll|::::リ::::::::::::lソ:/ ` ` 、
` ヽ//:::::::::彡/lllll' ヽllll|::::::::::::::::::ノ/ ` ` 、
 ̄ヽ::::::::|llllll' /lllll|:::::::>  ̄ ` ` 、
>::::/lll/ ヽllll|:::::::ヽ ` ` 、
`=─' `=─' ` ` 、
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
悪魔の右足に狙いを定め、撃つ。
弾丸が悪魔の脚を抉り、再度飛びかかろうとしていた悪魔の動作を中断させる。
そこへすかさず、ヨシツネが跳んだ。
すれ違いざまに悪魔の顔面に一太刀入れると、宙を蹴るようにして反転し、
さらに横薙ぎに一撃を入れ、そしてまた反転した。
繰り返されること八回。
見えない足場を跳び回り、繰り出されたヨシツネの刀は、正確無比に
悪魔の体を切り刻んでいた。
顔、首、左胸、両腕と両足、それら全てがぶつ切りになっていた。
遅れて血が噴出し、辺り一面を血の海にした。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
314: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:38:08 ID:Ubww7uhA0
/-‐ィ , - ._ ヽ
/'´/-‐'´_-‐' ´./ .ィ ヽ、 .ト、 ',
/'./'´ //, -‐ フ /::/ l、 、 ヽ 、丶\ ',`‐-`--イ
lイ/l / / /レ::/:::l ィ l::', ',\ 、 ', ヽヽ \l_....-‐/
ル' l ' /l ./:/::::::l /::', l:::::', ト、 ', ヽ ',\!、 .l ! ヽ_::: イ
/./>┤//:::l//::::::::::`:::l:ヽ!:::::l::\l:::\. 、 ヽ 、\リ、 ',
<ニ//':::::::l/:::::∧/:l::::::::::l:::::ヽ::::l:::l、::l:::::::::::::ヾ\ト、 l l:\:、ヽ !
/〃:::::::::::リ::l:::l l:::l、::::l:λ::::::\',::l::',:ヽ:::::::',:::::::\:、 ! l::::、::ヘl /
l〃/リ::l::::::::l:l l:::l ',:::l、l.ヽ:::ト、:::::::::::ヽ:\:::ヽ::::::::ヾ l、ト、::',‐-'...、
l/' .yヽト::リ:', l::ト-', ト≦ム',ヽ!::/:,、:',:::::\:ヽ、:::::∨::\ ト 、::::::\
/'´``ト、:ゝ ', ` ‐-`´イ// リ /', !l / 、)',::::::::::::/ヽ厂:::::::::::::ヽ これで何人目だ?
', / \! /' レ リ/ヽ //::l:从!l:::::〉::::::::::::::::::::',
v、 _ 仁'イl::::/:://::::::l::::::::::::::::::::::: 「五人目だが、もっと減るな。他のサマナーも
ヽ _ / l::⊥ィ'´/:::::::::::l::::::::::::::::::::::::
ヽ ー ` _ _ -‐' ´ 二 _ イ:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::: 仕事しているらしい。エネミーソナーの反応が
ヽ_ -‐'´ _ -‐'::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_ -‐' ´_ -‐'::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 消えていってる」
<´ 、...-‐:´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::
\\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ヽ ヽ::::::::::::::::-─' ´  ̄ ̄  ̄` ` ‐-<::::::::::::::::::::::::::
ヽ ヽ/ ‐-::::::::::::
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
エネミーソナーにあった十五の反応は、五個ほどになっていた。
ウルフウッドたちメシアサマナーが感染者を見つけ、殺害したのだろう。
ヨシツネによってばらばらになった悪魔の死体を見下ろすと、
そこには人の死体があった。
若い男だった。髪を茶髪に染めている。大学生くらいだろうか。
これから将来を考える時期だったろうに、と思いを巡らし、頭を振る。
今からこんなことを考えていては、仕事が続行できなくなる。
「喜留夫、大丈夫?」
メイヴがそっと手を握ってくる。
その体温が、喜留夫の胸の内の波紋を鎮めてくれる。
「ああ。次に行くぞ」
ウルフウッドに連絡を入れると、死体の処理役を寄越すと言われた。
一応、今回の犠牲者は事故死として処理され、きちんと葬儀も行われるらしい。
喜留夫は心の中で手を合わせ、その場を後にした。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
315: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:38:43 ID:Ubww7uhA0
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316: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:40:51 ID:Ubww7uhA0
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:.:.:.:.:.:.:.:./.:. :.:.:.:.:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::|:.:.:.八.:.!:i:.:_i!ィ:.:八:.:.:.:.:.:.::,'|:.!l|:. /リノ.:.:.:.:| `¨¨
. :.:.:.:.:.:.:/.:/.: :. :.:.:.{:.:. :.:.:.:.:.:.:.::::|:.:.:i:.{!斗匕{ Ⅳ i.:.:.}.:.:/,:lノ、У.:.:.:.:.:/i:.:!
:.:.:.:.:.:厶イ.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::ト、:{圦 , ==ミ, /;イ.:./ 佗! }!:.i:. :./ :|:.!
. :.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.∧.:.:. :.:.:.:.:.::::{! ヽ/ん'㍉ // 代リ , {/.:.:/ リ
:.:ー=彡.:.:.:.:.:.:.:/.:∧.: .:.:.:.:.:.:.入 イ! {i{_}i} ':.¨´厶ィ′
. :.:.::.:.:`二三`7;=─‘:. :.:.:.:.\:.:.\ ゙ ゞ= '_, ' ` | ´ ひっ……
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:i / ´ Ⅵヽ.: .ヽ:.≦、  ̄ / !
\.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:! 、{ ィ |:.:.i`¨¨i¨¨´ ,'
. \.: .:.‘,:.:.\ ヽ |:.:.l:.:.:.:.| , ,イ
>、.:‘,.:.:.:.:.ヽ:. __|:.:.l:.:.:.:.| u ,ィニ¨ / :|
. /.:./ヾミ、:.:.:.:.:.:.:.:.:´|:.:.l:.:.:.:.|、 /i: .:|
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我妻由乃は程なくして見つかった。
公園の隅の暗闇で座り込んでいるところを発見し、
拳銃を抜いて歩み寄っていくと、怯えた表情でこちらを睨んできた。
「あ、あなたたちも、由乃を殺しに来たの?」
どうやら、先ほどの個体とは違って、理性が残っているらしい。
我妻由乃は「来ないで!」と叫ぶと、右腕に左手をかざした。
そこには、Y字のような形をした痣が浮かび上がっていた。
ウルフウッドから聞いていた。感染者には、それぞれ悪魔の性質を表した
痣が体のどこかに浮かび上がると。
喜留夫は何も口にせず、唇を噛みながら、ただ銃口を向けた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
317: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:43:14 ID:Ubww7uhA0
(( ____ ))
_√ィ´ ` ヽ\
,イ / ,' l | } ト、
j / , | ! / | !
/ ,' / | ハ { 〈 /
| { /ト、 ノ、/ ,イ ,ヘ …………。
', ∨ l }丶 l| {' ∧ヽ、
ハ i! ∨ _ノ ヽ j! \丶
./ l| | ヘ l|ノ jl }
/ 彳 ゝ i /ト、 ハソ
{ 〃 ! 《 ヽ ム j i| ヽ/ \
\ヽ/ l| } / リ l| }
ヽ\ // l! / ' ハ ノ
/}_」ハ/ ヽ {ト、 }∧ jヽ、
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
「お、お願いがあるの」
我妻由乃は悪魔へと変貌することはなかった。
跪き、頭を下げてくる。喜留夫はそこに弾丸を撃ち込むことはできなかった。
仲魔たちも、それを咎めることはなかった。
「好きな人が、会いに来てくれるの。最後に顔が見たくて、連絡して。
もうすぐこの公園に来る筈だから、待っててほしいの。
彼に会えたら、後は大人しく、死ぬから」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
319: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:50:53 ID:Ubww7uhA0
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, ⌒ 、/⌒ 、` 、
/ /ミ‐,‐/`ヽ 、\ \,r≦ミ、
. ,≦/ / / 、 、\《三三ノ
(/ / /! l 、 、 \` 、(
. // / ,' ! l l 、 \ \ ヾ)
/イ / / // l | |ヽ l、 、 \ \≦)ノl
lヽ// / / //__,! l l -ヽ| ヽ 、 . \ ヾ' \ー‐,__
ヾ/イ//l /,/l/ l|∨ l||,, ヽ| ヽ 、 \〈\― <
ヾ / | /, ,ィ笊示 ∨ !l/ ィ 示`ヽ∨ ヽ l| ヽ ノ >
. ヾノ、/ , ! /∧ ヒリ ヽ| ヒリ ヽ| |ヽ | ヽ > ねえ、喜留夫……
ヾ / イ |/l/l|∧ 、 / l | ヽ| ヾ ∨ >
ヾ /イ ∧ | |∧ / ´! l ! lヽ lヽ|\∨ < 僕、それくらいはいいと思うんだけど。
/‐‐―ノ /l∧ | l. 、 ー― イ/ノ.l /l/l/ lヽ! __ ヽ
. /_ //l, ┐,∧ !ヾ > _ r≦ ノノ、! / r、/ / `ヽ}
. ヽノ ―― 、 /、ヾ| {≧zzzzzr ィ〈< |/ ) 斗≦=― .l
, ' / \ `ー, ノ三三≧ >'´l l= 、 > ' _ ヽ
l, ', ≦≧z ./〉&;,‐,――― ' | | ヾ,,,(, ‐,≦_ ` 、____ l
,r≦三三三// / / | |イ / / /三三三≧、\> ヽ
/三三三三 // / / / ,/ / / /三三三三三 、 、 > 、
三三三三ニ{ { { .{ / / / / / 三三三三三 ノ 、 、 、
、三三三三ヽヽ ヽヽ , '' { .{ { .{ 三三三三 イ 、 、 、
 ̄| ̄ ̄ ̄|\\ ヽヽ _ ≦ . ヽヽ ヽヽ三三 イ | 、 、 、
| |  ̄ ̄ ̄ ` ― ヽ_>‐ヽ_ノ| | 、 、 、
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ここですぐさま逃亡するならともかく、一応は確保されてくれるというのであれば、
選択の余地はあるかもしれない。それは甘えかもしれないが、喜留夫はそこまで
機械的に物事を判断することができるほど冷め切ってはいなかった。
「……いいだろう。ただし、俺たちがここで見張らせてもらう。
彼氏にはどれくらい説明してあるんだ?」
「全部は説明してないよ。でも、ある程度は知ってもらってる。
私が人を食べたくてしょうがないのも」
「そうか、ならいい」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
320: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:53:19 ID:Ubww7uhA0
| { | ハ ' 乂込りイ、`ヽ
| ' | ミ、 i |ハ ゞ=彡ノ/z i
| ヽ .! ハ:}|i: ! { ' i ゞ=ソ i:!
.i | ハ:{. r=彡|{|ノi |. | ヽ 八
:| ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ | ! ハ 、 ゙
|{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j | .'{ ヽ
ハ 人ハr=ミ ハ ハ ノ从 7Zマ.く_ ' | {八 いつから付き合ってるの?
/ }込八irくイ_ノ ノ i.i゙;;;}j ' ハk , ! i ヽ
{ :{ゞ=ミ_ノ/ , ゞー" / ノ/ |i ゝ 「つ、つい最近……」
.八 ∧ '' j:i '' ノ "″,イ./{ 八 `ー
. ヽ∧ 八{_ノ、_ ./rーミ八 `ー - へえ……告白はあなたからでしょう?
\ヽ.  ̄ ´ イハ }vー 、`ー -
`ヽ \> . ィ´,⌒´ ノ `ヽ 「なんで分かるの?」
ハ \ ヽハ≧=彡} `ヽ `ヽ ハ
丶. \ }、 { / ノ } あなた、そういう女の子に見えたから。
\ ヽ ノ iト、∨ \ '
. . : :  ̄: : : :>――‐ァ
__/: : : : : :ハヽ:.\ニニ=/
/}: : : : : : : : : : :‘,‘,: ゞY≧=ー
ノ=,': : : : : : : : : : : : :. V: 八: : :.>
`フ: : : : : : :| : : : 从ハ:. Y: : : : : :\
. `|: : : : : :从: : :/x坏!::. l: : :ハ: : : :\
|: : : : : :{斗Vハ ゞリ: 1ノ:ィイ≦ィミノ:.) どこまでしたのー? チューは?
|: : : : ::爪沙〈 八イ 爻 爻 爻 弐
八:.:.:.:从.入 ‐ ':./爻イ ̄´ー‐=ミ{ 「……手、繋いだだけ」
/イハ: :}: } ≧=/:/'_,,,,. ̄ ̄ \
. / /: :ハ:j:ノゝ=彡ィ(:(<:\= \=- ハ 人間の女の子って慎重なんだねー。
(:.:人 ノ'ミ}\ニ r彡'\\:Yニ.} \ヽ\ \j
r'(: ノ:}Yべシ\:)イ=/ニニ ): :jニ=.Y 、. \
f V⌒ソ-<__}/メ Yニ)ニ/ゞ(ニニ |:iハ \
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結局、喜留夫たちは確保という名目で、我妻由乃と一緒にその恋人を待つことに
なった。
ウルフウッドには連絡していない。連絡すれば、処理しにこちらへ来るだろう。
それは避けたかった。その時点で、確保というのは間違いになってしまうのだが。
待っている間、女子であるメイヴと、女子のようなものであるパイモンが
我妻由乃の話し相手をしていた。男どもは蚊帳の外である。
そして、我妻由乃の恋人は、一時間もせずに公園へやってきた。
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322: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:56:02 ID:Ubww7uhA0
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. ノ个:.´トトx=ミレ' 心っ i:.:.:.l|′ ユッキー……!
|:.:从 { c心 """ |:.l:.:リ 、
jハトヘ """ `___ .|:.l:.:ト:.:.\
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|:.:. 1>. `... ---彡,|:.:.:.|:く V:.:∧
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痩せ形で、身長も低い男の子だった。同級生だという話だから、
我妻由乃と同じ中学生程度だろう。
その表情はとても険しいものだったが、我妻由乃を視認した途端、
明るいものへと一変した。
我妻由乃も涙ながらに駆け出し、恋人に抱き着いた。
公園の街灯に照らし出された抱きしめ合う二人の姿に、喜留夫は
目を背けたくなった。これから、この二人を永遠に引き裂くことになるのだ。
それも、この手で直接。
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323: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:56:57 ID:Ubww7uhA0
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様子を見守っていると、我妻由乃に変化があった。
恋人から離れ、立ちすくみ、ぶるぶると震えている。
何があったというのか。
拳銃を抜き、声をかけた時には、もう遅かった。
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324: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:57:10 ID:Ubww7uhA0
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我妻由乃の体が緑色の、生体マグネタイト特有の光に包まれた後、
腕が、足が、みるみるうちに人間の物ではなくなっていった。
理性をなくしたというのか。それも、このタイミングで。
驚くのもつかの間、次の瞬間には血飛沫が上がっていた。
恋人の腹を、我妻由乃だったものの腕が貫いていた。
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327: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:01:30 ID:Ubww7uhA0
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_,. '´  ̄`、
/ u. \
| (●)ililili (●) u, | おい、よせ! やめろ!
、 トェェェェェェェイ /
,"ヽ、 ヽェェェェェ/ '´ `、 恋人なんだぞ! おいっ!
/ ゙ヽ、
| `-、、 ヽ
\ ヽ ハ
ヽ l l
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そしてあろうことか、我妻由乃だったものは抉り取った恋人の臓物を口に運び、
喰らい始めたのだ。
駆け寄り、肩に手をかけるが、凄まじい腕力で跳ね飛ばされる。
最早人の意識は残ってはいないようだった。
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328: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:02:41 ID:Ubww7uhA0
/ | _ ___
{ \_{ V´{ ´ <_ ィ
_{` `- '/}
- 7 く
_ノ , ーイ
> ,: { / | / 、 _ノ
{/{ \{ 从{ 、 }l / r '
/ , { 八 { | 八}/ ー/
 ̄/ イ、∨\ }/ / r- ´
{ ∧ \ l { | | 从 …………。
V_人 ヽV }/ 八 | /从\
、}∧ } / イ┴―-く
_个<ニニニニニニ\
\\>----<ニニニニ/
/----- 、 \ニニニ〈
, ´ \ \ニニ}
/ 、 ∧ニニ\
, ∨ / ∧ニニニヽ
/ } / ∧ニニニ∧
, | l / ∧ニニニ∧
{ | / ∧ニニニ|
| / / ∧二二|
| ∨ / |二二|
| , |ニニj
∨ { |ニニ{
} 、 |ニニ|
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起き上がり、拳銃を我妻由乃へと向ける。
そこには、人間の姿に戻った我妻由乃が、血まみれになった自分の手と、
恋人の死体を見下ろしていた。
困惑した表情が、一気に絶望に染まっていく。
口許に滴るその血こそが、我妻由乃自身がしたことを如実に語っていた。
ヨシツネが肩に手を置いてくる。
「やるぜ、旦那」
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329: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:03:33 ID:Ubww7uhA0
:.:.:|.:.:.:.:.|゙、_レ-‐ト:::|.:.:i.:.:.:.:.i.:十‐‐トl=|,;_/l|.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.|
:.:.:.゙、,;,;,;|::゙、从.:.:|::::ヽ.:l、.:.:.:|ヽ|:::::;;|ノ;;|.:/リ|.:.:;イ.:./.:.:.:.:|
.:.:.|.:゙、.:.:゙、ィ="テュ、ヾ リ ゙、.:.| 彳ラ‐"'ヾ、lノ:/:.:.:/.:.:ヽ、_
.:|.:|.:.:ヘ.:|゙f liU::::.il ヽl liu::::i| ゙l| 7.:.::/.:.人‐‐''´
、|.:|ヽi.:|゙ヾ 从':::ソ 从゙::ソ ソゞ//ゝ、.:.:.:ヽ、
. ヾ|.:.:リヘ ゚ー ニ。 ゙ >=`‐cつ. /.:.:.:.:.:|` ̄~ ……ねえ、わたし、生きてちゃいけなかったのかな。
|.:.:.:.:ヘ <i j i! /.:.:.:.:.:.:|
|.:.:.:.:.∧ i! /.:.:.:.:.:.:.:|
|.:.:.:.:.:.:ヘ _ _ i!/:| .:.:.:.:.:.:.|
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/. u (ー)ili(ー)\ ッ……。
| (トェェェェェェェェイ) |
\ \ェェェェェ/ /
330: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:03:43 ID:Ubww7uhA0
____
/ \
/ \ ……こうなったのは、俺の責任だ。
/ \
| (●) (●) | 俺が、お前の彼氏を殺したようなもんだ。
\ (トェェェェェェェェイ)/
____
/ ::::::::::::::::\
/ :::::::::::::::::::::::\
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| (〇)::::(〇):::::::::::| だから……俺が送ってやる。
\ (トェェェェェェェェイ)::/
/ ..:::::::::::::::::::::::::ヽ
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____/ /__| ..:::::::::::::::::::::/|::::::|
___,廴j__ヽ r::::::::/ ハ::::,)
ヽ |/
>__ノ;:::......
331: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:03:58 ID:Ubww7uhA0
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332: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:05:16 ID:Ubww7uhA0
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! l!V/////l-l!_l,!///l.!//,'‐、-、l/ l/// l'|////! ヽ'//////
!|ヾ///l. ヽゞ'// ll/  ̄ l// .l'|.!///l ; !////// 日本酒ってのは不思議な味が
゙、∨∧ .! |/ |! l/ l'! l///! } !//////
,..-―、 ヾ! 、 .! ,.' .l! l//l ソ.l'////// すんのやな。
,. -‐ ,.- _./ _ ヽ! ,、- _ リV! .ノ///////
_ ‐ ./ ` 、` ヽ l 、  ̄ ―- └ 、 ! !  ̄ ‐ _ !///// 嫌いじゃあらへんで。
_ - - _/ _ _ .〉 ! .! 、_ .! !  ̄ ‐' V_
/  ̄`  ̄ ./ .l .l  ̄ l l _
. / -‐ 、 _ ` く ! ! ヽ ! .l _ ‐ニ二二
/ _ ‐- _ ヽ ! l ` l l _-ニニニニニニ
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全ての感染者の処理が終了した後、喜留夫は約束通り、ウルフウッドと
屋台で熱燗をちびちびと飲んでいた。
「なんや、そんな渋面しおってからに」
「ちょっとな。……相手の一人に、理性が残っていた奴がいてな。
処理はしたが、しばらく忘れられそうにないんだ」
「さよか」
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333: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:12:31 ID:Ubww7uhA0
,.イ´_
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_,..-=ヽ!'////////////>、
////////////////////ヽ
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l! l'////////////////// i///〃}! 今回の仕事は、そういうもんや。
゙ ∨////////////////.i !//,'′′
ヽ'/////////////∧: l/! 可哀想には違いあらへん。けど、放っておくわけにもいかへん。
∨///////////,' ゛'lリ
}'////////// : /リ 「だから、俺たちが手を汚す。そうだろ」
_,.!'"-――-"'、_ i /
/ ` 、 そういうこっちゃ。
/__--―――--___丶
_ -=ニ二二二二二二二二二二二ニニ=-_
_ -=二二二二二二二二二二二二二二二二二二二=-_
‐二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ=_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ-_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ
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/ ヽ
/ ( ー) (ー)' なあ、やっぱり俺たちってさ、ただの薄汚れた人殺しなんだな。
| (トェェェェェェェx ,--、
\ \ェェェ< ヾ zヽ 「せやな。しっかし、何を今更」
____/ \/| |
| | / / __ノ
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| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ. |
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人の生きる権利の有り無しなど、誰が決められるわけでもない。
そう考えていた。けれど、今回ばかりは別だったかもしれない。
彼女は生きていてはいけなかったのだろうか?
自分はあの時、有無を言わさずに引き金を引くべきだったのだろうか。
答えは出ない。その答えを出せるのは、神様くらいのものだろう。
喜留夫は記憶のボトルの中身を酒で薄めるように、御猪口を呷った。
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334: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:14:07 ID:Ubww7uhA0
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,二二二ニニニニニ'_ i;;;;;' };;;;;l
 ̄'‐=二ニニニニニ=- ._,';;;;;' .!;;;;;l
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/ニニニ/ i;;;;;;;l‐=二l;;;;;;;!二ニニカ
~また次回~
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290: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:00:28 ID:Ubww7uhA0
,- ‐‐ - 、
r‐イ: : : : : : : : :`,
i /○ ○: : : : / /` 、
i_ _ _ : : : : : : :{ / : : / チミたち、バレンタインのチョコはもらえたかい?
`,_ _`=-: : : :| ノ : : /
i: : : : :_: : : : :'y´ : : : / >>1は義理一個貰えたよ。ゼロ個じゃないのは久々だね。
`-‐、´: : : : : : : : : /
ノ : : : : : : : : i´ ま、相手は友達の妹の小学生なんだけどね。女子にカウントしていいのやら。
/ : : : : : : : : : :|
i: : : : : : : : : : : ! それじゃあ初めていこうか。
. (`ー‐- -‐ _}
293: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:06:23 ID:Ubww7uhA0
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│ 第六話『阿修羅の嘆き』 │
│ .....│
└──────────────┘
294: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:06:42 ID:Ubww7uhA0
:,: :(::)
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薄暗い路地裏に湿った音が響く。
娼婦のふりをして路地裏に誘い込んだ男は、既に息絶えていた。
最初に首筋に齧り付き、そのまま引きちぎった。
男は悲鳴を上げることもなく痙攣し、しばらくのたうち回った後で動かなくなった。
自分は、動かなくなった男の服を手で破り、その肉を貪り喰らっていた。
普段なら鉄の味としか表現できないような血の味が、なぜかたまらなく甘く感じる。
ぐにぐにとした肉を食いちぎり、口の中で咀嚼するして飲み込む度、
根拠のない多幸感が脳を這いまわる。
なぜ、こんなことをしているのか。
それは四日前のことだった。
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295: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:08:55 ID:Ubww7uhA0
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296: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:09:16 ID:Ubww7uhA0
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/ (●) (●)\
| (トェェェェェェェェイ) | ___________
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| | | ⌒ ーnnn | | |_|___________|
 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l二二l二二 _|_|__|_
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パソコンにこのメールが届いてから、早一日が経っていた。
メールの内容はこうだ。
四日前、東京にあるガイア教団の研究施設で、実験体の脱走事故が発生。
脱走した実験体が撒き散らしたウイルスが近隣住民に感染し、大騒動に発展。
一応の収束は経たものの、感染の容疑がかかっている者のうち十五人が三津井市
方面に逃亡したとのことだ。
近隣のサマナーはこれに対し、事態の収束に当たってほしいというお達しが
DDSNET経由で出されていた。
もちろん、近隣のサマナーには喜留夫も含まれる。
だが、喜留夫は「はいそうですか」と刀と銃を持って出かける気にもなれなかった。
この流出したウイルスというのが問題なのだ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
297: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:09:37 ID:Ubww7uhA0
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| .(ー) (ー) |
\ r───-、 ,/
ノ \
. /´ ヽ
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ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
┌ ┌┬┬┐┌┬┬┬┐┌┬┬┬┐┌┬┬┬┐
,. - ''"| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ρ ̄`l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ノ ̄ ̄
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
その名はアートマ。詳しい原理は明かされていないが、体内の生体マグネタイト
を活性化、変質させ、人を悪魔へと変貌させる悪魔化ウイルスである。
メールには逃亡したとされる十五人の顔写真と氏名、特徴が載せられていた。
つまるところ、巻き込まれた一般人十五人を皆殺しにしてこいということである。
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298: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:09:50 ID:Ubww7uhA0
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299: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:12:03 ID:Ubww7uhA0
____
/ \
. / (ー) (ー)\ ……だそうだ。既に他の一般人への被害も出ているらしい。
l^l^ln (トェェェェェェェェイ)\
ヽ L \ェェェェェ/ | なにせ悪魔の実体化には生体マグネタイトが必要だからな。
ゝ ノ /
/ / \ そうなれば必然的に、悪魔か人間を襲うことになる。
/ / \
. / / -一'''''''ー-、. いくら人間の意識が残っているとはいえ、飢えには勝てん。
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
_\ ヽ _,,,ィ
-ニ,,__>` ィ _,., , / .,  ̄ . /
/ァフ _,-ァ // _,-彡イ/! /イ/ , .ト、 ヽ ー≦‐ァ
./ レ´ /イ .//' ./ /イ ! l .ハ ト、.| ヾ,ハ`<,ィ <_
__,,, イ ! i./ .|// ,ィ ', |./ ',代. 、 !ハ\ _ヱ,,ミ:、`
\ー--:::::-:ハ.リ レーァ /;ィ ./ Ⅵ !' ヽ、',| ⊥,_ヽ彡≧ヽ
`フ7_ノ:.イ| /:〃!// .| i i/:ヾ .、 ,、ヾヽ.、-イハイ__
レ1:::;:::::_i::lⅥ:./`|メ.、|ハ/!::ト;:l 代:、トヾ::`ー`::ハ ヽイ
|;ヘ:::バ::ト、レ ーモテミ`l::!::| Ⅵ_,ゝ:|-Ⅵ::::::::ト、| .ドヽ となりゃ、人間を襲うだろうな。
∨ ,ト;|  ̄´ ';:!:「´ヾ,,__ヾ .jイ:;:::ハ、 | `
戈;ヘ! `ヾ.  ̄ .ノ:イーァ゙ .| 悪魔相手じゃ返り討ちに遭う危険性もある。
个ミ、 /イリ |
/::::ハ. 、 _ ./イノ | 力が強い奴なら別だろうが、個体差があるんだろ?
厶イ;∧ /イ{ !
_>ニ二|:!:::|\  ̄ ニ ‐- ,イ;:/ ` `、 で、被害は。
/..:´::::::::/イ:::| \ ,イ/イ\ 、: ヽ
/イ:::::::::::::::::::l;ヘ| ミ\ _,..:< : : ハ|::::::ヽ `: \ 「見つかってるだけで六人食い散らかされてる」
.`>ミ 、::::::::::::::::.| ミミ`¨´ : : : : : : i ::::::::::::::ゝ, \=ミ;.、
ヽ 、::::::::/ : : : : : : : : : : l::::i:::::::::://ヘ \|:.:\
_,,..-‐'"´:ヽ '::;::ハ : : : : : /: : :ヽj::::::://: : ヘ .!:.:.:./\
_,,,..-‐''"´:::::::::::::::::::::ハ ';:::::ハ , /: : : : /:::::://: : : : ヽ |:.イ. \
"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |::::::::l:. ', :/: : : : /:::/イ: : : : : : ヽ | ヽ
300: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:15:48 ID:Ubww7uhA0
, へrァォ7フx- ´  ̄ - 、
/ イゞン7ハ__ ヽrァ7、__
/ i ゞアン'ー, vシ} 、
i ト、 // , / ド' i
| | 、 /./ /, //, /|// .| ドミ、 |
|,ノ , .| V /////r'/ //| | | | \ .|
// | } .. |rァォメヾ/ノ//-ト|、| /ト、ヽ ` 、
// , ' /... . トK乃ッリ) . ,r=ォx'ノイ | ハ ) 思ったより少ないわね。
// /,'/ゝi ... トゞアンツ 弋リ/.| |/ 人メ、
/ / ,',' .,| \...)) . , / .| |, イ/\ 、 人の意識と悪魔の飢えが拮抗してるってことかしら。
///ヽ.// ,ヘゝ 、 \ ‐- イ/| | | \ \
. (/ // 、ノ ̄ へ⌒ヽ、 )_. 、_ .ィヘ ノノ |, ゝ、 ) .) でも、飢えに負けた者がもう出始めているのも事実よね。
ヘ \ | | )\ \_ソ/ミ,',ニニシ ゝ、 l \/ /
\ \ノノ/ く´ _ ., …´/ y>ul--‐‐''¨.ヘ\. / /
) Y , イニ____,ノ !乂ゝ__ゞ__! ヽ i ヽ,/ / \
,/ / / | しー io .l > i ,.l ( l ( ( )
/ , イ i 、 `ヽ⌒ 、,, .′′'^^_"_^i.. \ \ /
/ \ ` 、 ゝ ノ イ ` ~ ′ ) )'
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
喜留夫は行動を開始する前に、仲魔たちを召喚して話し合いをしていた。
ヨシツネなどは元を辿れば人間だった身だ。もしかしなくとも反対する可能性はある。
しかし、ヨシツネは意外にもすんなりと承諾した。
「確かに、そいつらは哀れだよ。あまりにもな。だからといって、周りの人間を
食っていい理由にはなりゃしねえ。どうしようもない理由があれば、何したって
許されるってのはクソ野郎の言い分だ。そいつらは哀れだが、同時に許されない。
俺は乗るぜ、旦那」
メイヴとパイモンも同様の意見だった。
一応、後でファフニールを人気のない所で召喚して意見を聞いてみたが、
「悪魔が人を喰らうことの何がおかしい? そして、デビルサマナーが悪魔を
討つことの何がおかしい。我は肯定も否定もせぬ」と悪魔然とした答えだった。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
301: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:17:17 ID:Ubww7uhA0
___
/ \ 既にメシアサマナーも動いている。
/(● ) (● ) \
/ (トェェェェェェェェイ) \ 今回はそいつの指揮下に入ろうと思う。
| l^l^lnェェェェ/ |
\ヽ L / そんじゃ、準備済ませて合流すんぞ。
ゝ ノ
/ /
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
元一般人十五人の皆殺し。
自分が彼らの立場であったなら、と思わずにはいられないが、
それは綺麗事というものだ。
人の命は尊いと言うのは簡単だが、それを理由に、目の前で行われる人食いを
阻止しないわけにはいかない。
自分はデビルサマナーなのだ。人を守り、悪魔を討つ役目がある。
そう、自分に言い聞かせるように、喜留夫は懐の刀を撫でた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
302: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:17:32 ID:Ubww7uhA0
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┌┐
└┘
□
・
303: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:17:44 ID:Ubww7uhA0
~Tips~
『メシア教会』
メシア教。ユダヤ教から派生した宗教団体。
表社会での影響力も強く、悪魔の存在を認知し、専属のデビルサマナーを戦力として保有している。
救世主(メシア)の出現を信じており、その力によって世界が救われることを信じている宗教。「信じるものは皆救われる」と謳う。
秩序を重んじ、すべては法の下に管理されるべきであるとしている。
完全なヒエラルキー階級の下に成り立っており、秩序と平和はあるが個人の主張はないに等しい。
『メシアサマナー』
メシア教会に帰属する悪魔召喚師。
メシア教会からの依頼のみを受託するサマナーたちで、内部ではテンプルナイトとも呼ばれている。
同じメシア教の人間からは英雄視される一方で、他のサマナーたちからは疎ましく思われている。
主要なメシアサマナーは主に天使を使役するが、そうでない裏の仕事を遂行する者はそうとも限らない。
何事も建前と本音があるということである。
『ガイア教団』
ガイア教。土着宗教から派生した宗教団体。
秩序や階級に囚われず、自然と一体化することを重要視している宗教。
「生きる者はいつか死ぬ。形あるものはいつか壊れる」と謳う。
差別も区別もなく、管理を否定し全てのものと共存しようとしている。
そのため現実的かつ実利的で、力のない者に価値を見出さず救いの手を差し伸べない。
基本的に実力至上主義の団体で、自由はあるが秩序は存在していない。
悪魔の存在を許容し共生していくことを考えているため、メシア教とは真っ向から対立している。
教徒の中には暗殺を生業とする者もいる。
現代ではガイア教団に帰属しているヤクザや半グレ集団も多く、しばしばメシア教会との抗争が起こっている。
メシア教の戦力にはデビルサマナーが多く含まれているが、ガイア教はサマナーの戦力が少なく、フリーのサマナーを雇用することが多い。
304: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:27:27 ID:Ubww7uhA0
\ l , 、,.
\ i ̄ ´ ,. ヽ / ./ }
, -,.∧ 、-<_ / ' / ./ ,. 'ヽ
.、 /::::/ ,ヽ ,.ノ `' ―.、ヽ. ./ / /`, ' ' ./
ニ\ /::::::/./. ヽ. / \\ , ´ , ' ,. ′,.' / !
ニニ\ /:::::::::/::.. 、 /ヽ \.>ヽ ゙/ _... ´ / .'´ヽ./
二二ニヽ/::::::::::::::;.:::::::::. ` // / .; ;. ゝ '"__ 丶./ ,./ .'/
ニニニニニヽ:::::::::i:::::::::::: ,.. '"::::/ ; ; .:. ;. / //  ̄\ ./ .' ;
二ニニニニニヽ::::/:::::::::::: /::::::::::::::/ _ , i .:::. i ; // ! ,.' /
ニニニニニニニヽヽ:::::::::/、:::::::::::::;:'ニヽ 「.! ヽ,.= "l ̄ ̄l.! // ,' ′ /
ニニニニニニニi >゙}ヽニニ\::::::/ニニニl ,.-' .}、ヽ.l l l liヽ/ / . '
ニニニニニ! ̄ ̄ ハ: \ニニ\{二ニニl / l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l‐-=.._/ '
二二二ニニl l l:::. \二ニニニl、./ /.l _ l--、 ,. '´
二二二ニニニl l !:: \二二ニニV l.l l ,. -― ´ : \
二二ニニニニl l .l: ./二ニニニ/ .. - '", ,. }
二二ニニニニl } ,! ./ニニニニ,.' ´ ´ _,. _,.. ー、 ノ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
時刻は午後八時を回っていた。
既に日は落ち、町にはネオンサインが灯りはじめる頃だ。
そんな中で、一人の背の高い男が駅前広場の喫煙所に立っていた。
黒髪にサングラス、スーツ姿。そして何よりも、とにかく目立つ包帯尽くめの
巨大な十字架。恐らくこの男がメールに記載されていた人間に間違いないだろう。
今回は、メシアサマナーであるこの男の指揮下に入ることになる。
なるのだが、その顔を見て、喜留夫は踵を返しそうになった。
店の扉を開けたらいかにもといった風貌のヤクザたちがたむろしていた時と
似た感覚だった。いや、それ以上かもしれない。
端的に言えば、死の予感だ。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
305: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:27:47 ID:Ubww7uhA0
,.'/___
_ .{i'"州州州州≧ ー 、
,:州州州州州州州州州州≧、
. ,州州州州州州州州州州州州i≧、
. .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
,州州州州州州州州州州州州州州州il
. i州州州州州州州州州州州州州州州il!
V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.
. 州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
V州州州州、ヽゝ!州l l!!' !|//ヾl.l i,' / よお。話は聞いとるで。
V州州州州ヽ 〈 V l! `´ ゙、!/ /
. V州州州州! ー , ' / .,イ あんたが加賀で間違いないな?
,-、彡州州州i! ヽ ,.- 、 =/ ./==
,  ̄ ―-lリ._l!. 、 丶. 丶. i./ .{ ! 「ああ」
. ,.‐-'__ ‐ .._ > . ヽ 丶. 、 .}
. !三三三三ニニ=- .._ ` _>_i ; ,'.! さよか。ほんなら話は早いさかい。
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._ ` ‐ 、 ゙ ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \ / 早速仕事の説明といこか。
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_ {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、
【超人ニコラス・D・ウルフウッド Lv74】
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
処刑人ニコラス。ニコラス・ザ・パニッシャーと呼ばれるこの男は、
数いるメシアサマナーでもトップクラスの悪名を持っていた。
たった一人でガイア教団の支部一つを壊滅させたという話もあれば、
連れている悪魔は辺り一帯を焼け野原にする熾天使だという話もある。
まさか日本に来ていたとは。
ウルフウッドは煙草を吹かしながら、淡々と説明を始めた。
なぜ関西弁なのは理解に苦しむが、それは一旦置いておくとしよう。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
306: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:30:51 ID:Ubww7uhA0
. '//////////////l'///////////////////// //////////////////// !//
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. l'/!//////'ヽ////l'/////-////_///'゙ /' /"///// ,"// '////// '//
. l! l/i////' ヽ \//!'////-////-//'‐-/'_ ,'゙///// !// !' !//// '//
. ! !! ゙,// ,\ ヾl////_////,,.l'/_ ̄"''==ェ///./ l// !.l'/// /'/
_.l!-Ⅵ_― ''''"" ̄ー ' !//ヽ l/ マ了,示ァl///=z、.__l'/ .!l/// //,.-z=
_.-ニ/  ̄""'''''''' ¬== ヽ ` 、 __゙ー‐'" !'//` 、 ̄l'! ̄ '.!// ヽ/'゙´ 顔写真は?
ニ/ _ _ ,..∠______i//__ |!- - !'/_,. ' __
´ /  ̄ "''''' i―‐/二二二二ニニニニl'/ニニニ‐ 、 _!'___ , '"ニニ 「プリントして持ってきてある」
.,/  ̄ |ニニニニニニニニニニニニニニ二二二二二ニニニ
_./丁 Ⅵ7T ''''' "´ l二二二二二ニニニニニニニニニニ/ ̄ ̄ヽニニニニ こいつとこいつ、あとこいつは処理済みや。
/ ー- _V/,! .! .l二二二ニニニニニニニニニニニニ! i ::::!ニニニニ
/ ( _.) i l二二二ニニニニニニニニニニニニl | :::::!ニニニニ 残りは他のサマナーが探しとる。
, ー- ..,, __ .ノ ' 、 .!二二二ニニニニニニニニニニニl l ::::::!二二二
/ .: .{/,ヽ!二ニニニニニニニニニニニニニl ! :::::::!ニニニ んで、要注意なんがこいつや。
´ ::. V//lヽニニニニニニニニニニニ=‐" l ::::::::ヾニニニ
. ' ヽ :. lヾ'∧  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l ::::::::::::: ̄ ̄
/ 、 l l'/∧
ヽ l l//∧
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
ウルフウッドが写真の上でバツ印を指で描く。
処理済み、ということは、既に殺害済みということなのだろう。
そして、残る中で要注意だとされたのが、年端もいかぬ少女だった。
歳は中学生くらいだろうか。大きな目と幼い表情が可愛らしかった。
「がさい? ちうんか。我妻由乃。アートマに感染した容疑で確保に向かった
メシアサマナー五人全員が食い殺されとる。ちょっとした魔王くらいには
構えとったほうがええ」
個体差があるとは聞いていたが、まさかこんな少女が。
喜留夫は驚きを隠せなかった。それを見抜いたらしく、ウルフウッドは
こんな質問を投げかけてきた。
「可哀想やと思うか」
「ああ。でも、人食いを許すわけにはいかねえよ。大丈夫だ、そこらへんの
分別はついてる」
「さよか。実はな、ワイもごっつ胸糞悪いねん。せやかて、このまま野放しにする
わけにもいかへん。誰かがやらにゃあかんのや」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
307: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:31:04 ID:Ubww7uhA0
/:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :、_
/:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::、ヘ
; :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: : :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: トミ 、
':: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ∧ `ヽ
/:: :: :: :: :: :,ィて、 ) :: :: :: > ´ :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :.
,:':: :: :: :: :: :: | r >/;:<ミx、:: :: /:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :〉
,ヘ /:: :: :: :: :: :: ::_} l )'/:: / `ヾミx、_:: /. イ:: :: :: :: :: :: /
/ ∨:: ::_::∠::-‐ 、 ` ; : / ´ ヾミィ77ヽイ:: :: .ィ:: ,:: /
_/ V´ Y |: / ////,イ> ´/'イ:; ' ……あんたとは馬が合いそうやな。
_.. ´ 、 / !/ ` </| / 〃 ....,:.:´, .
>.. \ { ′ ! ....:.:,, .. どや、終わったら一杯やらへんか。
..</////`ヽ \ i、 / , ):.:.:ノ .
/ ///////////\ \ i,i,ヘ _ノ ̄`′ (:.:.:ソ: . 「いいぜ。あまり旨い酒にはならなさそうだが」
/////////////////ヽ \ へ-.、 , ´`ヽゝ ,ふ´..
///////////////////∧ \/ ヽ\_ / 、 _..ノ:.ノ 飲んで忘れんさいちうことや。
////////////////////∧ ヽ /| ` ~´
/////////////////////∧ ∨ ! こんな仕事、飲まずやってられるかいな。
//////////////////////∧ /〉.、 |
,///////////////////////ハ / 〈 ∧}
308: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:31:18 ID:Ubww7uhA0
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│ :: │
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┌┐
└┘
□
・
309: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:31:30 ID:Ubww7uhA0
~TIPS~
,.'/___
_ .{i'"州州州州≧ ー 、
,:州州州州州州州州州州≧、
. ,州州州州州州州州州州州州i≧、
. .i州州州州州州州州州州州州州ili≧、
,州州州州州州州州州州州州州州州il
. i州州州州州州州州州州州州州州州il!
V州州州州州州州州州州'州i'州'州!i!l}
l州州州州州/ヾi州州州リ,/レ' l/¬,┐リ.
. 州州州州州/ヽ V州州lil==il//l/,l.'ヽ __
V州州州州、ヽゝ!州l l!!' !|//ヾl.l i,' /
V州州州州ヽ 〈 V l! `´ ゙、!/ /
. V州州州州! ー , ' / .,イ
,-、彡州州州i! ヽ ,.- 、 =/ ./==
,  ̄ ―-lリ._l!. 、 丶. 丶. i./ .{ !
. ,.‐-'__ ‐ .._ > . ヽ 丶. 、 .}
. !三三三三ニニ=- .._ ` _>_i ; ,'.!
/三三三三三三二二二ニ=‐- ._ ` ‐ 、 ゙ ,' !
二二二二二三三三三三二二二=- .._ \ /
二二二二二二二二二二二二二二二ニ=-ヽ_ {
二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ、
【名前】
ニコラス・D・ウルフウッド
【種族】
超人
【レベル】
74
【属性】
Neutral-Law
【相性】
精神・神経・魔力・破魔・呪殺無効
【能力】
力-B 魔-E 体-A 速-B 運-E
【スキル】
狙い撃ち 刹那五月雨撃ち ミサイル弾 暴れまくり デスカウンター 大治癒促進 食いしばり
【装備】
『パニッシャー』
十字架型の巨大な鉄塊。地上最強の個人兵装として名高い。
COMPとしての機能も持っているが、武器としての機能に圧迫されているため、使役できる悪魔は一体までとなっている。
ミサイルランチャーと機関砲を内蔵しており、戦車に用いられるような装甲に覆われているため耐久性にも優れ、
凄まじい重量から鈍器としても使用できる。
『白い拳銃』
大口径の改造拳銃。装弾数は十五発。
【備考】
三津井市にて活動するメシアサマナー。海外ではニコラス・ザ・パニッシャー、処刑人ニコラスと呼ばれていた。
普段は牧師を名乗っており、携帯懺悔室といった珍妙なものを持っている。
パニッシャーと呼ばれる十字架型の巨大なミサイルランチャー及び機関砲内蔵のCOMPを所持している。
使役する仲魔は大天使ミカエル。
年齢不明、人種不明、生年月日不明、血液型不明、出身地不明。
310: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:33:19 ID:Ubww7uhA0
_ , - - ― ´  ̄ ` - 、_
_ _ γて_,、// ― 、―yミXヽ_=r= 、
//| Kr-、|ヾ、 >ロ><ァトミヽ
/ Xヾ彡 // | ヽ ヾ|\テソノヘヽ`、
| | |ト`´ノ/ |..| .| | | ゛ て‐<ゝ` |
| | |`、/ | / | | .ハ| ヾ | ヽ |ヽ ||(` |
| | /ヘ/ | / .| | | |ヽ `、_._|_ | li `、\|| | よくあんなの担いでて職務質問されないわね。
/ | .ハ .| | |大-.| | .|、 .|ハ | | | | | || |
,/ /// || | ノレハ,、|、\\ハi_, =-、 | | .| | | | 「日本政府はメシア教会にべったりだからな。警察にも手が
/ / /イ | | .| Kr/マア冫 ` `´イ::..::ハ | | | | .|
/ // / | | | ヘ Y`.ヾ斗ソ 弋;;ソ / .| .| ヽ .| 回ってるんだろ。ほら、救世党ってあんだろ? あれのバックも
/ / / / | | | ヾ|ト, ゛´゜ ノイ | | | .|
/ / //イ .| | | ヽ) > _ _ U ノ彡/ / `、ヽ メシア教会だ。他にも色々金出してるらしいぜ」
../ / / | | | | | |ノ i |>、 ` ´ /イ / ./ / `、\
/ / イ / | | | | |l y | | r-ノ> - < |/ / / ヾ` この国、大丈夫?
| | |l .. || | | | /| .| | \>_)(⌒)(\ノ/ / /`、,_ /`´ |_ ヾ \
| | || | |ヾ X .| .| |_ , )、ソ ( ) ( / /テアノ ̄r/./ ヽノ `、
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
メイヴ、ヨシツネ、パイモンを召喚し、周囲を警戒しながら駅前のモールを探索する。
この方向はまだ探していないと、ウルフウッドに指示されたからだ。
当のウルフウッドは「隠れられそうな場所を探してみる」といって姿を消した。
元は東京に住んでいたとなれば、住宅街の家の中とは考えづらい。
となれば、そのあたりをふらふらと彷徨っているか、もしくはどこか物陰にでも
隠れているかのどちらかだろう。
「ねえねえ、それってなあに?」
パイモンが肩に手を置いて、ひょっこりと顔を出してきた。
喜留夫は手元に目を落とす。今回のために作成された、特殊なエネミーソナー
が入ったUSBメモリだった。あの後でウルフウッドに渡されたのだ。
早速スロットに差し込み、エネミーソナーをインストールする。
アプリケーションを起動すると、COMPの画面に表示されているエネミーソナーと
入れ替わる形で表示された。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
311: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:35:07 ID:Ubww7uhA0
.:.:.:.:. |.:./ |ノ|.:.:.:.: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: | | |
_ :; :...... _|/ | |.:.:.:.:.:.: ____:;:; | | |
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......./^\____| , | |イ イ _ |..:;| | | // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
;:;:;...... ::. :. | :.:|ノ| ̄ ̄| Y´}!ヽ |..:;| | | / ^────────
.:.:.:.:.:.:. __ |:.:.:..... | | |〕|ヽiレ'} |..:;| | |  ̄| ┌──────‐
;;; ' 、 -';;/ : |.;.;...... |ノ| |〕|ィiト、| |..:;| | | /| r、 │ |
__/ヽ;;;;;;L.: | :.:, . | | |从 |i^リ |..:;| | | / |┤ \| |───────
7、ィ;;;;;/-i|..:.:.:| ;|ノ{ |  ̄/ | | | r──‐ァ.i 、イ 丶 | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
─‐イ /lil|.:.:.:.|: .: .:. 乂二) | // | | | 乂__.:.:/::::レ≪ ̄ ̄\ | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
 ̄]lll|/ lil| , . |: .: .: ..:...」___L// / | | | /ハ、 y^.:..く.......| 〈二二二二二二二二二
_〕ll| _/ii|.:;;;''|.:.: : :..:イニニニニニニ」 /-_-| | | 〈.:.:.:.:ヽ_ /^ヘ=-{::::::| | |───────
i!ii!i|ll|i!i!i!i| | : : | .: /:_:〕 ニニニニニ イ _-_-_|,,__| |_____,」‐‐「^7.:.:.:/ .:.: \| | |
i!i!ii|ll| 、ィ7i|__|/_:_:_ ヘ三三二/ _‐_-_-|_:_:_:.} }_:_:_:_:__,/^^^}! /.:./:/.: .:.:.: | | |───────
 ̄ 「|イN|i!|_:_:_|_:_:_:_/  ̄ ̄ ̄ _-_-_-_- |:_:_:V ∧:_:_:/.:.:.:./:.:.:l:.:.:.:.`ヽ:.:.:/.:.:..:.:.: :| | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
ニ〕ll|. |ll|_:_:_|_:_/:_-_-_-_-_-_-_-_-_-_''|:_:∨ ∧_:_:ノ:.:./:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.∨.:/: :.:.:.| | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
_〕ll|、/.ll|─┘'-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-|_ 7⌒〕_:_:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.ヽ::.:∨.:.\:.:.| 〈二二二二二二二二二
i!ii!i|ll|i!i!i!|l!|_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_ ̄ゝイ  ̄{.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:. :.:.:.ヽ:.}:.:.:. :..ヽ| | |───────
i!ii!i|ll|i!i!i!ア-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-八.:. :.:.:.,/:.:.:.:.:.:./: :.:.:.:. /^ ̄ ̄ |,_____,| |
i!ii!i|ll、ィl「-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_\.:.:.:.:.:.:.:.:/:. 〉.:./_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-| |───────
¨ ̄-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_->ー───'^_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_| |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_ | |i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|i|
_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_‐〈二二二二二二二二二
_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-
_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-_-
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
モールを抜け、住宅街へと入る。
そこで、エネミーソナーに反応があった。
「いたぞ」
ジャケットの裏側で拳銃を抜き、サプレッサーを装着する。
流石に夜の住宅街で、異界化もしていないのに銃声を轟かせるわけにはいかない。
いつでも銃を抜けるように懐に手を突っ込んだまま、反応のある場所へと向かう。
途中で住宅と住宅の隙間というべき細道に入った。
そこに、それはいた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
312: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:35:31 ID:Ubww7uhA0
/| !
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/ `ヽ/`ヽ
イゝ i! ',
/ く ヽー-、 ヽ i! ,ヘ
r⌒Y}! \ ゝ、ヽj // ヘヽ
ゝヽj | 〉リ`ヽ X 〈 |ー'
ーイ7 `¨¨丁´___v_〉\/
レ i!{i!ji!ji!ji!ji!jリ:}| ∧
く \ゝjiリi!リi!リi!リノリ リ
',≧==---、 \≦¨¨ラ レ/
', >x、\j__j 彡' 〃フノ|
', `¨¨¨¨/ // ノ
ゝー==ニニ≠彡' / /ゝ' (
/ 、 ≧=ニニ≠ /\ / /| /
, ' 、 r'´ // ̄ ̄ヽ===/ / レ'
,、 r、_ \/ 彡'/| ノ、 // / \
r─彡' ー==z__ x< E三≧\/三三少'!__L .レ/ j { / ヽ.
-=ノ >xイ // ヒ三三| |三三 少' レク | / | L!イ \
つ ≦} レ' レ'ノ\\三ヨ |三 少' ノ/ ゝ j/ ヘ
丶、 |\∨ 厂-' ≧、 少' イ / ハ
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人の形をしたものがうずくまっていた。
魚人、とでも言うべきだろうか。
体格自体は筋肉質な人間なのだが、ところどころに鰭がついており、
手にはぬらぬらと光る鋭い爪がある。
鋸のような歯を剥き出しにした口に、異様に細い目は、今まで見てきた悪魔の
中でもかなり凶暴な部類だった。
唸り声を上げながら、悪魔がこちらを見やる。
喜留夫たちに気づいた悪魔は、身構えることなどせず、うずくまった姿勢のまま
跳躍し、飛びかかってきた。
狙いは喜留夫だった。躱そうと後ろへ飛び退くが、間に合わない。
腕を前に出し、防御しようとする。が、その防御のための腕に、
悪魔は口を開き齧り付いてきた。
牙が服を引き裂き、肉に突き刺さる。
歯を食いしばり、懐から抜いた銃を悪魔の腹の辺りに突き立て、
引き金を引いた。弾倉が空になるまで撃った。
そこまでしてようやく、悪魔は少しよろめき、喜留夫の腕から口を放した。
悪魔の胸部に蹴りを入れ、その勢いで後ろへと跳ねる。
倒れ込みながら弾倉を交換し、再度構えなおす。
「ヨシツネっ!」
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313: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:35:48 ID:Ubww7uhA0
,ィ /!,/
. /l ソ`/ l/彡イ__ _ _
トl /レ / ̄/:::l:::::::::::`、
ト- / ̄:::::::::::l::::::::::::::::ヽ
ゝ //:::::::::::::::::::〈:::::::::::::::='ヽ あいよ!
' y,ヘ.\:::::::::::::::::::::::\::〃:, '´、
.ハヽ.、 `-:、:::\::::::::::::ヽ:/ ヽ
__」 ヽ \ ` -、\:::::::::::ヽ 、丶
<〃ヾ彡:::::l ` 、 ` 、ヾ::::::::ヾ ` ヽ _ --─┬─ 、
ヾ〃::/´ヽ ` 、.ヽ::::ト、ゝ__,'ユ/:::::::::::l l〃//二 ヽ
` 、.‐-\ヽ =- 、 \ ヽ.\、\  ̄ 〉:::〃///_三彡
__ ` 、 `.l _ コ、 丶.ヽ_ ` ヽl /:::///´
/  ̄ ̄` ‐-=! /三三三ヽ \ `二彡/::::::/
l イ`モ三三三ニゝ `  ̄ /;/三ゝ-、
ヽ 、 、 / リ ̄`----─'´ ̄`‐---‐'´ `モ/ γ ヽ_
ヽゝ \ / l l !ヽ ゝ_l__/〃、
ヽ:〃:癶__ ! / l:::::ヽ ` ` 、
ヽ〃/U`ヽ_ // ノ:::::::::ヽ ` ` 、
ヽー彡::/ ̄`‐------_--癶──ニニヽ::! ` ` 、
\:::::/::::::::::::::::丶::::/llll  ̄!lllll|::::リ::::::::::::lソ:/ ` ` 、
` ヽ//:::::::::彡/lllll' ヽllll|::::::::::::::::::ノ/ ` ` 、
 ̄ヽ::::::::|llllll' /lllll|:::::::>  ̄ ` ` 、
>::::/lll/ ヽllll|:::::::ヽ ` ` 、
`=─' `=─' ` ` 、
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悪魔の右足に狙いを定め、撃つ。
弾丸が悪魔の脚を抉り、再度飛びかかろうとしていた悪魔の動作を中断させる。
そこへすかさず、ヨシツネが跳んだ。
すれ違いざまに悪魔の顔面に一太刀入れると、宙を蹴るようにして反転し、
さらに横薙ぎに一撃を入れ、そしてまた反転した。
繰り返されること八回。
見えない足場を跳び回り、繰り出されたヨシツネの刀は、正確無比に
悪魔の体を切り刻んでいた。
顔、首、左胸、両腕と両足、それら全てがぶつ切りになっていた。
遅れて血が噴出し、辺り一面を血の海にした。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
314: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:38:08 ID:Ubww7uhA0
/-‐ィ , - ._ ヽ
/'´/-‐'´_-‐' ´./ .ィ ヽ、 .ト、 ',
/'./'´ //, -‐ フ /::/ l、 、 ヽ 、丶\ ',`‐-`--イ
lイ/l / / /レ::/:::l ィ l::', ',\ 、 ', ヽヽ \l_....-‐/
ル' l ' /l ./:/::::::l /::', l:::::', ト、 ', ヽ ',\!、 .l ! ヽ_::: イ
/./>┤//:::l//::::::::::`:::l:ヽ!:::::l::\l:::\. 、 ヽ 、\リ、 ',
<ニ//':::::::l/:::::∧/:l::::::::::l:::::ヽ::::l:::l、::l:::::::::::::ヾ\ト、 l l:\:、ヽ !
/〃:::::::::::リ::l:::l l:::l、::::l:λ::::::\',::l::',:ヽ:::::::',:::::::\:、 ! l::::、::ヘl /
l〃/リ::l::::::::l:l l:::l ',:::l、l.ヽ:::ト、:::::::::::ヽ:\:::ヽ::::::::ヾ l、ト、::',‐-'...、
l/' .yヽト::リ:', l::ト-', ト≦ム',ヽ!::/:,、:',:::::\:ヽ、:::::∨::\ ト 、::::::\
/'´``ト、:ゝ ', ` ‐-`´イ// リ /', !l / 、)',::::::::::::/ヽ厂:::::::::::::ヽ これで何人目だ?
', / \! /' レ リ/ヽ //::l:从!l:::::〉::::::::::::::::::::',
v、 _ 仁'イl::::/:://::::::l::::::::::::::::::::::: 「五人目だが、もっと減るな。他のサマナーも
ヽ _ / l::⊥ィ'´/:::::::::::l::::::::::::::::::::::::
ヽ ー ` _ _ -‐' ´ 二 _ イ:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::: 仕事しているらしい。エネミーソナーの反応が
ヽ_ -‐'´ _ -‐'::::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
_ -‐' ´_ -‐'::´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 消えていってる」
<´ 、...-‐:´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::
\\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: イ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ヽ ヽ::::::::::::::::-─' ´  ̄ ̄  ̄` ` ‐-<::::::::::::::::::::::::::
ヽ ヽ/ ‐-::::::::::::
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
エネミーソナーにあった十五の反応は、五個ほどになっていた。
ウルフウッドたちメシアサマナーが感染者を見つけ、殺害したのだろう。
ヨシツネによってばらばらになった悪魔の死体を見下ろすと、
そこには人の死体があった。
若い男だった。髪を茶髪に染めている。大学生くらいだろうか。
これから将来を考える時期だったろうに、と思いを巡らし、頭を振る。
今からこんなことを考えていては、仕事が続行できなくなる。
「喜留夫、大丈夫?」
メイヴがそっと手を握ってくる。
その体温が、喜留夫の胸の内の波紋を鎮めてくれる。
「ああ。次に行くぞ」
ウルフウッドに連絡を入れると、死体の処理役を寄越すと言われた。
一応、今回の犠牲者は事故死として処理され、きちんと葬儀も行われるらしい。
喜留夫は心の中で手を合わせ、その場を後にした。
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315: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:38:43 ID:Ubww7uhA0
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316: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:40:51 ID:Ubww7uhA0
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. :.:.:.:.:.:.:/.:/.: :. :.:.:.{:.:. :.:.:.:.:.:.:.::::|:.:.:i:.{!斗匕{ Ⅳ i.:.:.}.:.:/,:lノ、У.:.:.:.:.:/i:.:!
:.:.:.:.:.:厶イ.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::::ト、:{圦 , ==ミ, /;イ.:./ 佗! }!:.i:. :./ :|:.!
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:.:ー=彡.:.:.:.:.:.:.:/.:∧.: .:.:.:.:.:.:.入 イ! {i{_}i} ':.¨´厶ィ′
. :.:.::.:.:`二三`7;=─‘:. :.:.:.:.\:.:.\ ゙ ゞ= '_, ' ` | ´ ひっ……
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:i / ´ Ⅵヽ.: .ヽ:.≦、  ̄ / !
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. \.: .:.‘,:.:.\ ヽ |:.:.l:.:.:.:.| , ,イ
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我妻由乃は程なくして見つかった。
公園の隅の暗闇で座り込んでいるところを発見し、
拳銃を抜いて歩み寄っていくと、怯えた表情でこちらを睨んできた。
「あ、あなたたちも、由乃を殺しに来たの?」
どうやら、先ほどの個体とは違って、理性が残っているらしい。
我妻由乃は「来ないで!」と叫ぶと、右腕に左手をかざした。
そこには、Y字のような形をした痣が浮かび上がっていた。
ウルフウッドから聞いていた。感染者には、それぞれ悪魔の性質を表した
痣が体のどこかに浮かび上がると。
喜留夫は何も口にせず、唇を噛みながら、ただ銃口を向けた。
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317: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:43:14 ID:Ubww7uhA0
(( ____ ))
_√ィ´ ` ヽ\
,イ / ,' l | } ト、
j / , | ! / | !
/ ,' / | ハ { 〈 /
| { /ト、 ノ、/ ,イ ,ヘ …………。
', ∨ l }丶 l| {' ∧ヽ、
ハ i! ∨ _ノ ヽ j! \丶
./ l| | ヘ l|ノ jl }
/ 彳 ゝ i /ト、 ハソ
{ 〃 ! 《 ヽ ム j i| ヽ/ \
\ヽ/ l| } / リ l| }
ヽ\ // l! / ' ハ ノ
/}_」ハ/ ヽ {ト、 }∧ jヽ、
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「お、お願いがあるの」
我妻由乃は悪魔へと変貌することはなかった。
跪き、頭を下げてくる。喜留夫はそこに弾丸を撃ち込むことはできなかった。
仲魔たちも、それを咎めることはなかった。
「好きな人が、会いに来てくれるの。最後に顔が見たくて、連絡して。
もうすぐこの公園に来る筈だから、待っててほしいの。
彼に会えたら、後は大人しく、死ぬから」
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319: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:50:53 ID:Ubww7uhA0
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, ⌒ 、/⌒ 、` 、
/ /ミ‐,‐/`ヽ 、\ \,r≦ミ、
. ,≦/ / / 、 、\《三三ノ
(/ / /! l 、 、 \` 、(
. // / ,' ! l l 、 \ \ ヾ)
/イ / / // l | |ヽ l、 、 \ \≦)ノl
lヽ// / / //__,! l l -ヽ| ヽ 、 . \ ヾ' \ー‐,__
ヾ/イ//l /,/l/ l|∨ l||,, ヽ| ヽ 、 \〈\― <
ヾ / | /, ,ィ笊示 ∨ !l/ ィ 示`ヽ∨ ヽ l| ヽ ノ >
. ヾノ、/ , ! /∧ ヒリ ヽ| ヒリ ヽ| |ヽ | ヽ > ねえ、喜留夫……
ヾ / イ |/l/l|∧ 、 / l | ヽ| ヾ ∨ >
ヾ /イ ∧ | |∧ / ´! l ! lヽ lヽ|\∨ < 僕、それくらいはいいと思うんだけど。
/‐‐―ノ /l∧ | l. 、 ー― イ/ノ.l /l/l/ lヽ! __ ヽ
. /_ //l, ┐,∧ !ヾ > _ r≦ ノノ、! / r、/ / `ヽ}
. ヽノ ―― 、 /、ヾ| {≧zzzzzr ィ〈< |/ ) 斗≦=― .l
, ' / \ `ー, ノ三三≧ >'´l l= 、 > ' _ ヽ
l, ', ≦≧z ./〉&;,‐,――― ' | | ヾ,,,(, ‐,≦_ ` 、____ l
,r≦三三三// / / | |イ / / /三三三≧、\> ヽ
/三三三三 // / / / ,/ / / /三三三三三 、 、 > 、
三三三三ニ{ { { .{ / / / / / 三三三三三 ノ 、 、 、
、三三三三ヽヽ ヽヽ , '' { .{ { .{ 三三三三 イ 、 、 、
 ̄| ̄ ̄ ̄|\\ ヽヽ _ ≦ . ヽヽ ヽヽ三三 イ | 、 、 、
| |  ̄ ̄ ̄ ` ― ヽ_>‐ヽ_ノ| | 、 、 、
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ここですぐさま逃亡するならともかく、一応は確保されてくれるというのであれば、
選択の余地はあるかもしれない。それは甘えかもしれないが、喜留夫はそこまで
機械的に物事を判断することができるほど冷め切ってはいなかった。
「……いいだろう。ただし、俺たちがここで見張らせてもらう。
彼氏にはどれくらい説明してあるんだ?」
「全部は説明してないよ。でも、ある程度は知ってもらってる。
私が人を食べたくてしょうがないのも」
「そうか、ならいい」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
320: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:53:19 ID:Ubww7uhA0
| { | ハ ' 乂込りイ、`ヽ
| ' | ミ、 i |ハ ゞ=彡ノ/z i
| ヽ .! ハ:}|i: ! { ' i ゞ=ソ i:!
.i | ハ:{. r=彡|{|ノi |. | ヽ 八
:| ! >ー从_}{ i ! |.川 i{ `ヽ | ! ハ 、 ゙
|{ / ーヽメ 八ハ!{ !ノj_z_j | .'{ ヽ
ハ 人ハr=ミ ハ ハ ノ从 7Zマ.く_ ' | {八 いつから付き合ってるの?
/ }込八irくイ_ノ ノ i.i゙;;;}j ' ハk , ! i ヽ
{ :{ゞ=ミ_ノ/ , ゞー" / ノ/ |i ゝ 「つ、つい最近……」
.八 ∧ '' j:i '' ノ "″,イ./{ 八 `ー
. ヽ∧ 八{_ノ、_ ./rーミ八 `ー - へえ……告白はあなたからでしょう?
\ヽ.  ̄ ´ イハ }vー 、`ー -
`ヽ \> . ィ´,⌒´ ノ `ヽ 「なんで分かるの?」
ハ \ ヽハ≧=彡} `ヽ `ヽ ハ
丶. \ }、 { / ノ } あなた、そういう女の子に見えたから。
\ ヽ ノ iト、∨ \ '
. . : :  ̄: : : :>――‐ァ
__/: : : : : :ハヽ:.\ニニ=/
/}: : : : : : : : : : :‘,‘,: ゞY≧=ー
ノ=,': : : : : : : : : : : : :. V: 八: : :.>
`フ: : : : : : :| : : : 从ハ:. Y: : : : : :\
. `|: : : : : :从: : :/x坏!::. l: : :ハ: : : :\
|: : : : : :{斗Vハ ゞリ: 1ノ:ィイ≦ィミノ:.) どこまでしたのー? チューは?
|: : : : ::爪沙〈 八イ 爻 爻 爻 弐
八:.:.:.:从.入 ‐ ':./爻イ ̄´ー‐=ミ{ 「……手、繋いだだけ」
/イハ: :}: } ≧=/:/'_,,,,. ̄ ̄ \
. / /: :ハ:j:ノゝ=彡ィ(:(<:\= \=- ハ 人間の女の子って慎重なんだねー。
(:.:人 ノ'ミ}\ニ r彡'\\:Yニ.} \ヽ\ \j
r'(: ノ:}Yべシ\:)イ=/ニニ ): :jニ=.Y 、. \
f V⌒ソ-<__}/メ Yニ)ニ/ゞ(ニニ |:iハ \
/人:{:_ィ彡: :(: : v-ィ'' V:i:iY/ニニ≧ニニ:i:i:∧ 1 ≧=- ミ
. / ,.:i:i:i: /ニニ≧=彡へノ´:i:iハ=Y⌒Yニニ.!-、:i∧ | ヽ
/ /:i:i:i:ir{ニニ{ニ/V: :}lニ><「{ニV/八ニニ7:/〉_:i∧ 人
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結局、喜留夫たちは確保という名目で、我妻由乃と一緒にその恋人を待つことに
なった。
ウルフウッドには連絡していない。連絡すれば、処理しにこちらへ来るだろう。
それは避けたかった。その時点で、確保というのは間違いになってしまうのだが。
待っている間、女子であるメイヴと、女子のようなものであるパイモンが
我妻由乃の話し相手をしていた。男どもは蚊帳の外である。
そして、我妻由乃の恋人は、一時間もせずに公園へやってきた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
322: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:56:02 ID:Ubww7uhA0
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_. -く:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:...、
. ..:´:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.ヽ:.:.:.:.:、:.:\=-
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//:.:.:.{:.:.ヘ:.:.:..ーl‐j/‐ ∨:.:.:ノ:.:>i
:'l:.:.:.:l_l_:.}ハ:.:./ ,ィ==ミ1 仆‐':.:リ
. ノ个:.´トトx=ミレ' 心っ i:.:.:.l|′ ユッキー……!
|:.:从 { c心 """ |:.l:.:リ 、
jハトヘ """ `___ .|:.l:.:ト:.:.\
|:.:.:... { V /|:.i:.:l__ヽ:.:.ヽ
|:.:. 1>. `... ---彡,|:.:.:.|:く V:.:∧
l:.:/:| ,.ィ77///////::|:.:.:.|//ト.:.:.∧
|/:.リ{///////::::///オ:.:.!|///ィ::::`℡ュ.
/:.:/ 〉////:::イ// ':.:.:.:リ///::::::::::::}//℡ュ、
.':.:厶イ///ヘ ::::::///:.:.:.:///////////////ハ
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ノ:|:.:.ハ.V////::::::::::/|:.:{厶/:::::::////////:::////{
}/r天7:///厶:::::::::[天frイ//////////////////ヽ
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痩せ形で、身長も低い男の子だった。同級生だという話だから、
我妻由乃と同じ中学生程度だろう。
その表情はとても険しいものだったが、我妻由乃を視認した途端、
明るいものへと一変した。
我妻由乃も涙ながらに駆け出し、恋人に抱き着いた。
公園の街灯に照らし出された抱きしめ合う二人の姿に、喜留夫は
目を背けたくなった。これから、この二人を永遠に引き裂くことになるのだ。
それも、この手で直接。
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323: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:56:57 ID:Ubww7uhA0
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|/: :/ : :<.: .: .: .: .: : :|.:∧:.: .:i:|从 ハ|iヽ.: .:/.:.|: .: .: :|: |
〉、/ : : / ⌒}‐┬.: .: :И \汽苹ミ八/∨| : | : |: : |: |
/Vハ:.:.:.∧ { 〈 |.: .: : : :| i{ ん:犲 ノイ : /.: .:|: ト、 っ……。
/.: .: .:>': : : ∧ ー |.: .:i.:. .:| i `ヽ 辷ノ __厶イ:|.:.i.:|: |
/.: : : : /| ∨.: .:,:ー┐ |: :Λ.: :| し ヾ 芯i犲リ.:.i.:|: |
/.: : : : : : l }´´ l |/.:.Λ :| {ソ/\.: .:i.:|: |
|: : : : : : : l / ‘. ∨ : ∧| >{ |/|/ノ
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様子を見守っていると、我妻由乃に変化があった。
恋人から離れ、立ちすくみ、ぶるぶると震えている。
何があったというのか。
拳銃を抜き、声をかけた時には、もう遅かった。
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324: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 21:57:10 ID:Ubww7uhA0
:,: :(::)
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ヽ::::::::';''' ''`` 。
τ'::/ .;:
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τ !::::::::::::::::::::::::::::)/,,,,, γ :'`'``:!
(::::::::::::::::::::::::::::冫 `'`' 、,:'::::::`:::,,,, !:::::ノ ・
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我妻由乃の体が緑色の、生体マグネタイト特有の光に包まれた後、
腕が、足が、みるみるうちに人間の物ではなくなっていった。
理性をなくしたというのか。それも、このタイミングで。
驚くのもつかの間、次の瞬間には血飛沫が上がっていた。
恋人の腹を、我妻由乃だったものの腕が貫いていた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
327: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:01:30 ID:Ubww7uhA0
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_,. '´  ̄`、
/ u. \
| (●)ililili (●) u, | おい、よせ! やめろ!
、 トェェェェェェェイ /
,"ヽ、 ヽェェェェェ/ '´ `、 恋人なんだぞ! おいっ!
/ ゙ヽ、
| `-、、 ヽ
\ ヽ ハ
ヽ l l
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
そしてあろうことか、我妻由乃だったものは抉り取った恋人の臓物を口に運び、
喰らい始めたのだ。
駆け寄り、肩に手をかけるが、凄まじい腕力で跳ね飛ばされる。
最早人の意識は残ってはいないようだった。
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328: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:02:41 ID:Ubww7uhA0
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{ \_{ V´{ ´ <_ ィ
_{` `- '/}
- 7 く
_ノ , ーイ
> ,: { / | / 、 _ノ
{/{ \{ 从{ 、 }l / r '
/ , { 八 { | 八}/ ー/
 ̄/ イ、∨\ }/ / r- ´
{ ∧ \ l { | | 从 …………。
V_人 ヽV }/ 八 | /从\
、}∧ } / イ┴―-く
_个<ニニニニニニ\
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, ´ \ \ニニ}
/ 、 ∧ニニ\
, ∨ / ∧ニニニヽ
/ } / ∧ニニニ∧
, | l / ∧ニニニ∧
{ | / ∧ニニニ|
| / / ∧二二|
| ∨ / |二二|
| , |ニニj
∨ { |ニニ{
} 、 |ニニ|
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起き上がり、拳銃を我妻由乃へと向ける。
そこには、人間の姿に戻った我妻由乃が、血まみれになった自分の手と、
恋人の死体を見下ろしていた。
困惑した表情が、一気に絶望に染まっていく。
口許に滴るその血こそが、我妻由乃自身がしたことを如実に語っていた。
ヨシツネが肩に手を置いてくる。
「やるぜ、旦那」
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329: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:03:33 ID:Ubww7uhA0
:.:.:|.:.:.:.:.|゙、_レ-‐ト:::|.:.:i.:.:.:.:.i.:十‐‐トl=|,;_/l|.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.|
:.:.:.゙、,;,;,;|::゙、从.:.:|::::ヽ.:l、.:.:.:|ヽ|:::::;;|ノ;;|.:/リ|.:.:;イ.:./.:.:.:.:|
.:.:.|.:゙、.:.:゙、ィ="テュ、ヾ リ ゙、.:.| 彳ラ‐"'ヾ、lノ:/:.:.:/.:.:ヽ、_
.:|.:|.:.:ヘ.:|゙f liU::::.il ヽl liu::::i| ゙l| 7.:.::/.:.人‐‐''´
、|.:|ヽi.:|゙ヾ 从':::ソ 从゙::ソ ソゞ//ゝ、.:.:.:ヽ、
. ヾ|.:.:リヘ ゚ー ニ。 ゙ >=`‐cつ. /.:.:.:.:.:|` ̄~ ……ねえ、わたし、生きてちゃいけなかったのかな。
|.:.:.:.:ヘ <i j i! /.:.:.:.:.:.:|
|.:.:.:.:.∧ i! /.:.:.:.:.:.:.:|
|.:.:.:.:.:.:ヘ _ _ i!/:| .:.:.:.:.:.:.|
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/. u (ー)ili(ー)\ ッ……。
| (トェェェェェェェェイ) |
\ \ェェェェェ/ /
330: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:03:43 ID:Ubww7uhA0
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/ \ ……こうなったのは、俺の責任だ。
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| (●) (●) | 俺が、お前の彼氏を殺したようなもんだ。
\ (トェェェェェェェェイ)/
____
/ ::::::::::::::::\
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| (〇)::::(〇):::::::::::| だから……俺が送ってやる。
\ (トェェェェェェェェイ)::/
/ ..:::::::::::::::::::::::::ヽ
. / /| ..::::::::::::::::::::::i::::::i
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___,廴j__ヽ r::::::::/ ハ::::,)
ヽ |/
>__ノ;:::......
331: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:03:58 ID:Ubww7uhA0
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332: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:05:16 ID:Ubww7uhA0
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l/ !l///////l.!///////////// ////// !'/////////////
! l!V/////l-l!_l,!///l.!//,'‐、-、l/ l/// l'|////! ヽ'//////
!|ヾ///l. ヽゞ'// ll/  ̄ l// .l'|.!///l ; !////// 日本酒ってのは不思議な味が
゙、∨∧ .! |/ |! l/ l'! l///! } !//////
,..-―、 ヾ! 、 .! ,.' .l! l//l ソ.l'////// すんのやな。
,. -‐ ,.- _./ _ ヽ! ,、- _ リV! .ノ///////
_ ‐ ./ ` 、` ヽ l 、  ̄ ―- └ 、 ! !  ̄ ‐ _ !///// 嫌いじゃあらへんで。
_ - - _/ _ _ .〉 ! .! 、_ .! !  ̄ ‐' V_
/  ̄`  ̄ ./ .l .l  ̄ l l _
. / -‐ 、 _ ` く ! ! ヽ ! .l _ ‐ニ二二
/ _ ‐- _ ヽ ! l ` l l _-ニニニニニニ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
全ての感染者の処理が終了した後、喜留夫は約束通り、ウルフウッドと
屋台で熱燗をちびちびと飲んでいた。
「なんや、そんな渋面しおってからに」
「ちょっとな。……相手の一人に、理性が残っていた奴がいてな。
処理はしたが、しばらく忘れられそうにないんだ」
「さよか」
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
333: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:12:31 ID:Ubww7uhA0
,.イ´_
//////77‐-、
_,..-=ヽ!'////////////>、
////////////////////ヽ
/'//////////////////////∧
,'/////////////////////////,!
;//////////////////////////,!
i/!////////////////////////!il
l! l'////////////////// i///〃}! 今回の仕事は、そういうもんや。
゙ ∨////////////////.i !//,'′′
ヽ'/////////////∧: l/! 可哀想には違いあらへん。けど、放っておくわけにもいかへん。
∨///////////,' ゛'lリ
}'////////// : /リ 「だから、俺たちが手を汚す。そうだろ」
_,.!'"-――-"'、_ i /
/ ` 、 そういうこっちゃ。
/__--―――--___丶
_ -=ニ二二二二二二二二二二二ニニ=-_
_ -=二二二二二二二二二二二二二二二二二二二=-_
‐二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ=_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニ-_
二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二ニニヽ
____
/ \
/ ヽ
/ ( ー) (ー)' なあ、やっぱり俺たちってさ、ただの薄汚れた人殺しなんだな。
| (トェェェェェェェx ,--、
\ \ェェェ< ヾ zヽ 「せやな。しっかし、何を今更」
____/ \/| |
| | / / __ノ
| | / / |
| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ. |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
人の生きる権利の有り無しなど、誰が決められるわけでもない。
そう考えていた。けれど、今回ばかりは別だったかもしれない。
彼女は生きていてはいけなかったのだろうか?
自分はあの時、有無を言わさずに引き金を引くべきだったのだろうか。
答えは出ない。その答えを出せるのは、神様くらいのものだろう。
喜留夫は記憶のボトルの中身を酒で薄めるように、御猪口を呷った。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
334: ◆x0SRSoJXe. :2018/02/17(土) 22:14:07 ID:Ubww7uhA0
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/ニニニ/ i;;;;;;;l‐=二l;;;;;;;!二ニニカ
~また次回~
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