やる夫は異世界の戦士になるようです103
- 2016/07/06
- 11:46
5823 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:09:20 ID:NTpNp1NM0
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5826 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:16:19 ID:NTpNp1NM0
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i :::::::○::::○i/  ̄ ̄ 今日はなんとかこれくらいの時間に帰ってこれたね。
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/::::::::::`ー‐'´ヽ __i i i--i じゃ、だらだらとやってこうか。
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/::::\ヽ :::::::::::::i:::| ノ__ノ モコイさん、ファイっ。
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/::::::/ノ_ _ノ >:::::) \
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5827 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:16:29 ID:NTpNp1NM0
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ } 「というか、一体どこまで本気なのですか?」
/⌒ ⌒\ | |
/( ●) (●)\ ! ! 骨の髄までですお。
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| |r┬-| | / 具体的には嫁に来てほしいくらい。
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| ト、人 | z===ミ | \l y===ミ、l | | はい、無理です。お断りします。
lノl\人. {´ l| |', |
.!. ∩.| .| ' .!| |リ. |
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l lイ l l.| |_l/)| ! /<|` ー ´ |ハ.〉l | | | |
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即答された。逡巡することもなければ、顔色一つ変えることもなく
拒否された。初恋をここまであっけらかんと踏み躙られると、
だいぶ慣れたとはいえ、やはり堪える。
「あなた、数か月に渡って醜態を見せつけてきた異性に突然
愛の告白をされたとして、受けますか? そこまで好みでもない人にですよ?
私は受けませんね。無理です」
鋭い追撃に目頭を押さえる。
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5828 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:23:26 ID:NTpNp1NM0
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/ `丶
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.,r=‐‐‐-、 / ./ f´ ̄ `) と´ヽ
,/'~ ヽ. { i ! j }! )
ノ.| '! .{ .| y='==_:、,ノ / )_!
./ ゝ !ノ. 人ノ `ヽ /<ニ!,
/ ヽ. 〈,>'<リ 〆f_.イ s!
ノ ヽ、 `y' O/テノ! .q
/. ゝ r-イ /' / .} |
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ひとしきり罵倒すると、アンゼロットはふっと一息つき、
「で、どこに行こうというのですか?」と聞いてきた。
「いいんですか?」
「いいもなにも、まあ、断るのも悪い気がしますし。
ただし、くれぐれもおかしな真似はしないでくださいよ?
この状態では、抵抗なんてできませんから」
とんでもない。そんなことをしようものなら、罪悪感でどうなるか分かったものでは
ない。
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5829 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:23:57 ID:NTpNp1NM0
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/ ⌒ ⌒\
/ ( ●) ( ●)\ とりあえず町の大通りにでも行きましょう。うん。
| ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒´ / 「女性を逢瀬に誘っておきながら計画なしですか……
/⌒ ヽ
| ヽ__ _ ', 分かりました、どうぞお好きに連れまわしてくださいな」
:、_ ) ( ̄ _丿
| /  ̄`i / ̄ `i よーっし、任されましたお。
| | , |
∧ | |__/ /
`ーヽ _ | | _/
(__) 、__)
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再び車椅子を押す。
無人の駐屯地で、ひたすら魔道ゴーレムの足音を聞きながらぐったりしている
よりは、町でお店巡りでもした方が気分転換になるだろう。
腰を軽く曲げ、アンゼロットの表情を覗く。
彼女自身、町に出ることが嫌というわけでもないらしい。
なら、躊躇する理由もない。やる夫は足早にならぬように気をつけながら、
車椅子のアンゼロットと一緒に正面玄関へと向かった。
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5830 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:29:16 ID:NTpNp1NM0
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5831 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:29:26 ID:NTpNp1NM0
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ディアナの町並みはこれといった変化はなく、むしろ活気づいているようにすら思えた。
戦況がほんの少しではあるが好転しているのが理由かもしれない。
戦が終わる。百年間、この国の人々が夢見た時代が、本当に来るかもしれない。
そう思うだけで、沈んだ顔も晴れるというものだろう。
事実、現在の円卓、ロンドブル平原はアラディアの制圧下にある。
長らく激戦地として、そして戦乱の象徴として砲火と流血を生み出し続けた
あの荒野も、今では風の音が聞こえるだけの静かな場所となった。
いずれはあの静寂が、世界を覆い尽くす時が来る。
世界中の悲鳴が一旦止み、夜明けが来る。その夜明けを迎えられるかは、
これからの自分たちにかかっているわけだが。
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5832 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:37:16 ID:NTpNp1NM0
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大通りの人の流れの密度も高いままだった。
露天商は通りすがる子供連れに菓子を差し出し、買い物を済ませた
夫人が両手に籠を提げながらのんびりと歩いている。
平和だった。久しぶりに見る、穏やかな人の営みだった。
一時とはいえ、戦争から離れたやる夫の心は安らかなものだった。
ここでは、剣を握る必要もない。恐怖を押し殺しながら敵に突進する必要も、
夜襲に怯えながら夜を過ごす必要もない。
アンゼロットも同じようで、表情も首都防衛戦の時より俄然として柔らかかった。
さて、これからどこに行こうか?
下↓3
1.近くの店を見てまわる
2.人気のない落ち着いた場所を探す
3.当てもなく歩き続ける
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5838 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 23:10:12 ID:NTpNp1NM0
__. <´ ̄ ̄ ̄ ̄ ` `丶、
. / ̄ ̄>┤ \ \
/ / | \ ヽ \
/ , { \ \ \ \ ∧
〃 / ヘ \ \ \ \ ∧
{{ / , | l \ ヽ ヽ \ .! '.
{ | | | 、 、 \ ,へ =x l │ '.
| | | | .| \ \ く 八厂「`ミl l | '.
| | 、 |\l斗≠く\ \l_ノ ___ 、 l. l |ヽ . ふふ、ラピスともこういった感じだったので?
| |l\ 彳 ゞl \`ヽ '" ゙̄ヽ|│ | } '.
| ヽ\.\ \ ,r==ミ |│ |.丿 '. 「いえ、ラピスと一緒の時は、その……
ト 、 \\\ }l" , |│ | \ '.
| \ ヽl\`ハ . ' ,|│ | \ '. 逢瀬として誘ったわけではなかったから」
| , \丶、 イ_l│ |\ ヽ '.
| | │ l __>< ̄ヽ -< 厂} l | )==へ、 ぎこちないですねえ、もっとしゃきっとなさいな。
| | | { n ヽヽヽ }_厂} } l |¨´.: : : : : : :}. '.
| | | い ノ 〉ノ 丿 | :/: : : : : :.| '. やるならしっかりエスコートしていただかないと。
| | | ./ /oY´ ̄`ヽ /´: : : : : : : :.| '.
| l l ,′ ,くヽノ`ー / /: : : : : : : : :.:.| '.
/ /レ{ イ /{ } \__.ノ{´: : : : : : : : : : .:.:| '.
. ' /::/⌒ヽ/ ̄!<. } } }: : : : : : : : : : : : :| '.
' /:.:.{ / /: : \ } l: : : : : : : : : : : : :| 、 '.
/ く: : :| / ./: : : : ∧/ ノ:.: : : : : : : : : :..:ノ ヽ '.
/ 〉: :{ { /: : : : : : ∧ /.:.: : : : : :.「 ̄ ̄.! ヽ '.
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車椅子を押しながら、装飾品の店や衣服の店を訪れる。
日本で見られる、一般的なデート、いわゆるウインドウショッピングなどとは
違うが、これはこれで趣があった。
アンゼロットも興が乗ってきたらしく、ちょくちょくからかいを口にしながら
愉快そうに目を細めていた。
食事を楽しむことはできないため、とにかく目で楽しめるような店を選んでいると、
気づいたら女性用の衣服の店に入っていた。
店奥の年配の女性が微笑ましい視線を送ってくる。
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5839 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 23:36:02 ID:NTpNp1NM0
〃/ } ヽ
/ / i i } | ,
' ′ l { i | | ′
l | | ' i | | l } |
| | { ∧ ヘ ムrヒ 7"{「 ̄| |
| | / | {/ __' { '_jノ _厶ニL _ | |
| |'{ | ィ'{「 __`j八 / ノ ;ノ乙心jノ| / r: 、
| . { , l ァァぅ, ハ / ‘;::::タ刈 |. / ′ |
{. ', ∧ '. |〈{ {:::hム ∨ ー '' ” | / ル ) 从 i ……ふむ、随分と少女趣味な店ですね。
. ‘. / ,ハ ヽム 弋:㌣ j/ ハ / } i
)' / V{ ハ 〈 u. / 厶ィ´ i こういう服を着てほしい、と?
/ \ ', __ , ′│ !
/ 人 `´ / .′/ | ! 「へっ? いや、ええと」
/ / > . / /}丁厂 ! l
/ / / >-=''" ̄`丶、/ j j ′ i │
. / 〃 /..:::::::::::::::::::::::::::::..\ リ j ′ ! |
/ / /..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ j/ i │
. / / /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∨ i |
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アンゼロットの瞳が困ったように揺れる。
確かに、店内に並べられた服は大人の女性の服というより、
年頃の少女がお出かけの際に着ていくような可愛らしいばかりだった。
アンゼロットの服を見る。黒を基調としたミニドレス、といったところだろうか。
白く控えめなフリルには凝った刺繍が施されており、小さな貴婦人といった
風情がある。要は硬派で、可愛らしさより女性らしさを引き立てる服装だった。
老齢の店主が奥のカウンターから「そこに試着室があるからねえ」と
にこにこしながら言ってきた。彼女の目に、自分たちがどう映るかが少し気になった。
だが、その見守るような眼差しから、あらぬ疑いはかけられていたりはしないと
確信し、やる夫は小さく決心した。
下↓3
1.淡い青色のチュニックを勧めてみる
2.シンプルなブラウスとスカートを勧めてみる
3.純白のタイトなドレスを勧めてみる
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5843 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 23:49:15 ID:NTpNp1NM0
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/ ⌒ ⌒\
/ ,(⌒) (⌒)、\
| /// (__人__)/// | ……じゃ、これとか……
\ ` ヽ_ノ /
ヽ , __ , イ 「はあ、こんな服、着なくなって何年経ってるとお思いで?
/ |_"____
| l.. /l´ `l 着てあげますけど」
ヽ 丶-.,/ |_________|
/`ー、_ノ / /
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所狭しと並べられた服の中から、上下セットになった服を手に取る。
胸元にリボンのようにフリルがついた白いブラウスに、ゆったりとした黒い
スカートだった。シンプルで、あまり飾り気があるとは言えないが、
それゆえの気品が感じられた。アンゼロットが着れば、可愛く見えるかもしれない。
アンゼロットに渡すと、渋々といった様子で受け取ってくれた。
車椅子を試着室という名の仕切りまで押し、そこまで行って、ふと気づいた。
「一人で着れますか?」
「ええ、まあ、どうにかなります。足が動かないだけで、他は動きますから。
座りながら着替えれば平気ですよ」
そう言うと、アンゼロットは座り込むようにして試着室へと入り、カーテンを引いた。
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5844 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:06:51 ID:2aJ0YlE20
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/ ´ ′ ` 、
〃 / ; ヽ ヽ
レ' i ヽ ‘, ∨
/ ./ ,′ {. ‘,. ‘,
;′′′i{ { { { ‘, .i i i
{ i{ { .八 {__j__ .{ i 、 、 ̄「` 、! ! i
{ i{ 、 ./{Ⅵ\{人 {\lz斗=ミ| | :|
人八:. \ { ァ≠ミ、 `i ´Vr リ¦ .i :|
\ {ヾ 代r リ ` ´ .,' ; |
i ヾ.从 , , , 、 ' ' ' ′ ./ :|
|.! .! i.、 、 ノ i | ほら、着てあげましたよ。
从_i 个s。. イ | i | r 、
,. ´ニ' iヾー‐{〕≧ チr 7八 .| :| \\ _ お気に召しました?
/ニ二/ ノニニニLL}ー{」,/\ |__ :| ヽ ヾ7 .)_
/ニニニ/ /r――=ミ辷彡'ニニ≧ iニ≧.、 .i ' イ} }、
. ,;仁ニニ‐/./ニ,! (/,)´ ̄ ̄`ヽ{ |ニニニ\ 八 ヾノ、
{ニニニニ{/ニニ〈ー―==彡7` 、 、_ノ{ !ニニニニヽ. 〉、__ .}
人ニニニ,'ニニニ厂 ̄ / \ \ /ニ.、.ノニニニニ‐ム i 厂'ーァノー=ァ__
. ヽニニ{ニニニ`ー‐ 、 ′ __辷r'ニニムニニニニニニ ,' / / ̄}ー=ァ_j}
′ /ゞニ人ニニニニニヽ{{/´ニニニニ‐iニニニニニ‐ノ、 ./≧ ., _,ノ /´.ノ
/ ,仁ニニ‐}ニ=‐-‐=ニニ,'≧ 、ニニニニニノニ_ニ=--r ' ., ,ニニニ≧‐- イ
. / .,;仁ニニニ‐jニニニニニ'ニニニ=‐--‐=彡≦ニニニ〉 .‘,./ニニニニニニ‐ノ
/ ,;仁ニニニ/ニニニニニ7ニニニニニ7´ 「`マニニニ\ /二二ニニニニ/
. / .,;仁ニニ‐/ iニニニニニ7ニニニニニ‐7 :| 、ニニニニー彳二二ニニニ/
/ .iニニ=ミ' iニニニニニ'ニニニニニ7 :! :,\ニニニニノ二二ニニ/
. ′ !ニニニム 人ニニニニ7ニニニニニ‐7 | , \ニニニニニニ/
iニ>rzz,ム/ニニニニニ7ニニニニニ‐j} | ′ \ニニニ/′
レ'7」ー'ヽ '‐ニニニニニ'ニニニニニニ从 i| , `≪彡' ,
. i r{┘ _-ニニニニニニ7ニニニニニニニ-_ i| ′ , ′
i| ∩ノ _-ニニニニニニニ'‐ニニニニニニニニ-_i| }. ′レ'
.. 八. 乂,__,イ.マニニニニニ/\‐ニニニニニニニニ‐_. } } }
※心眼でお楽しみください
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一応、試着室に背を向けて待つ。
遠くには行かない。何か困ったことが起きた時、自分が離れていては
いけないだろう。
カーテン越しに、衣擦れの音と少し苦しげな声が聞こえてくる。
なにしろ座ったまま着替えているのだ、それも簡単に着られる類の服装ではない
ものを。心配になるが、カーテンを開ける気にもなれず、
悶々としながら待っていると声をかけられた。
カーテンを開けると、アンゼロットは座ったままで、やる夫を見上げてきた。
純白のブラウスを着たアンゼロットの姿は今までにないもので、新鮮だった。
アンゼロットはよく、黒い服を身に着けていた。
ああ、と溜息を漏らす。この人は、白い色も似あうんだな。
小さな感動が生まれる。
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5848 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:20:12 ID:2aJ0YlE20
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__,..'´ ̄ `丶、
, '" ̄ フ ̄l `ヽ \
/' / | ヽ ヽ
〃 ,イ | ! | l i
i' ,' l、 | l| | l、| | | ……着といてなんですが、あまり見ないでいただけます?
|l | | 」ム |ヘナ7メ、| | |
|| | ヽ. |ハ|=、ヽ、l 彳うミ、| | | なんだか、腰あたりへの視線が痛いのですが。
|ハ、 ヽ从l 化リ ` ゞ‐' | |ヽ l
ヽトトゝ 、 | レ' l それと、にやつきすぎです。怖いですよ?
| i、 r_, | | !
| | > 、 , イ | | l 「ご、ごめんなさい」
| | /ソ)T,.,_,.、jー| | |
/j |_l | レ',イムトr )| |.,..-┴..、
/:´l l::::::! '´ィ,'(_゚)、| |'::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::! l::::::| !/ イiヽ| |:::::::::::::::::::::::!
!::::::::::::| |:::/ヽ、 j '´||l| || |:::::::::::::::::::::::l
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白いブラウスと黒いスカートという組み合わせ自体は平凡だが、
アンゼロットの綺麗な金髪が白い布地によく映えていた。
指摘され、口元に手をやる。思い切りにやけていた。
これは是非もない。惚れた相手が目の前で着替えてくれたのだ。
嬉しくないわけがない。
「まったく、本当に度し難いですねえ。私の着替えを見て喜ぶなんて」
「そんなことないですよ、素敵です」
アンゼロットも満更でもないらしく、試着室に設置された姿見を見ながら
「ん、でも、これも中々」と小さくうなずいていた。
どうやら、気に入ってもらえたようだ。
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5849 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:22:21 ID:2aJ0YlE20
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5850 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:23:20 ID:2aJ0YlE20
さて、短くて申し訳ないが、今回で一区切りだ。
次は来週の日曜……としたいが、イベントシーンばかりだし、暇を見て投下するよ。
遅くとも日曜午後十時くらい、と考えておいてほしい。それじゃ、シーユーアゲイン。モコイさん、ファイっ。
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5826 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:16:19 ID:NTpNp1NM0
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5827 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:16:29 ID:NTpNp1NM0
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____ 〈⊃ } 「というか、一体どこまで本気なのですか?」
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/( ●) (●)\ ! ! 骨の髄までですお。
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l lイ l l.| |_l/)| ! /<|` ー ´ |ハ.〉l | | | |
|」 l,」,j,lイ ./ l人 ∨ .>r-<< ./ l. l | l .|
{. '"/ | .|::::::::::Vハ ∨ ノ ノ⌒ー.! !''"`ー-l、
. ヘ ./::::| .|::::::::::::::>⌒<´::::::::::::| |::::::::::::::::\
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即答された。逡巡することもなければ、顔色一つ変えることもなく
拒否された。初恋をここまであっけらかんと踏み躙られると、
だいぶ慣れたとはいえ、やはり堪える。
「あなた、数か月に渡って醜態を見せつけてきた異性に突然
愛の告白をされたとして、受けますか? そこまで好みでもない人にですよ?
私は受けませんね。無理です」
鋭い追撃に目頭を押さえる。
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5828 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:23:26 ID:NTpNp1NM0
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/ `丶
,.. -‐---、....,.._/ \
.,r=‐‐‐-、 / ./ f´ ̄ `) と´ヽ
,/'~ ヽ. { i ! j }! )
ノ.| '! .{ .| y='==_:、,ノ / )_!
./ ゝ !ノ. 人ノ `ヽ /<ニ!,
/ ヽ. 〈,>'<リ 〆f_.イ s!
ノ ヽ、 `y' O/テノ! .q
/. ゝ r-イ /' / .} |
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ひとしきり罵倒すると、アンゼロットはふっと一息つき、
「で、どこに行こうというのですか?」と聞いてきた。
「いいんですか?」
「いいもなにも、まあ、断るのも悪い気がしますし。
ただし、くれぐれもおかしな真似はしないでくださいよ?
この状態では、抵抗なんてできませんから」
とんでもない。そんなことをしようものなら、罪悪感でどうなるか分かったものでは
ない。
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5829 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:23:57 ID:NTpNp1NM0
___
/ \
/ ⌒ ⌒\
/ ( ●) ( ●)\ とりあえず町の大通りにでも行きましょう。うん。
| ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒´ / 「女性を逢瀬に誘っておきながら計画なしですか……
/⌒ ヽ
| ヽ__ _ ', 分かりました、どうぞお好きに連れまわしてくださいな」
:、_ ) ( ̄ _丿
| /  ̄`i / ̄ `i よーっし、任されましたお。
| | , |
∧ | |__/ /
`ーヽ _ | | _/
(__) 、__)
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再び車椅子を押す。
無人の駐屯地で、ひたすら魔道ゴーレムの足音を聞きながらぐったりしている
よりは、町でお店巡りでもした方が気分転換になるだろう。
腰を軽く曲げ、アンゼロットの表情を覗く。
彼女自身、町に出ることが嫌というわけでもないらしい。
なら、躊躇する理由もない。やる夫は足早にならぬように気をつけながら、
車椅子のアンゼロットと一緒に正面玄関へと向かった。
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5830 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:29:16 ID:NTpNp1NM0
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5831 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:29:26 ID:NTpNp1NM0
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ディアナの町並みはこれといった変化はなく、むしろ活気づいているようにすら思えた。
戦況がほんの少しではあるが好転しているのが理由かもしれない。
戦が終わる。百年間、この国の人々が夢見た時代が、本当に来るかもしれない。
そう思うだけで、沈んだ顔も晴れるというものだろう。
事実、現在の円卓、ロンドブル平原はアラディアの制圧下にある。
長らく激戦地として、そして戦乱の象徴として砲火と流血を生み出し続けた
あの荒野も、今では風の音が聞こえるだけの静かな場所となった。
いずれはあの静寂が、世界を覆い尽くす時が来る。
世界中の悲鳴が一旦止み、夜明けが来る。その夜明けを迎えられるかは、
これからの自分たちにかかっているわけだが。
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5832 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 22:37:16 ID:NTpNp1NM0
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\ ` ⌒´ ,/
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大通りの人の流れの密度も高いままだった。
露天商は通りすがる子供連れに菓子を差し出し、買い物を済ませた
夫人が両手に籠を提げながらのんびりと歩いている。
平和だった。久しぶりに見る、穏やかな人の営みだった。
一時とはいえ、戦争から離れたやる夫の心は安らかなものだった。
ここでは、剣を握る必要もない。恐怖を押し殺しながら敵に突進する必要も、
夜襲に怯えながら夜を過ごす必要もない。
アンゼロットも同じようで、表情も首都防衛戦の時より俄然として柔らかかった。
さて、これからどこに行こうか?
下↓3
1.近くの店を見てまわる
2.人気のない落ち着いた場所を探す
3.当てもなく歩き続ける
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5835 :安価のやる夫だお:2016/06/19(日) 22:52:01 ID:r7tD.18Q0 1 |
5838 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 23:10:12 ID:NTpNp1NM0
__. <´ ̄ ̄ ̄ ̄ ` `丶、
. / ̄ ̄>┤ \ \
/ / | \ ヽ \
/ , { \ \ \ \ ∧
〃 / ヘ \ \ \ \ ∧
{{ / , | l \ ヽ ヽ \ .! '.
{ | | | 、 、 \ ,へ =x l │ '.
| | | | .| \ \ く 八厂「`ミl l | '.
| | 、 |\l斗≠く\ \l_ノ ___ 、 l. l |ヽ . ふふ、ラピスともこういった感じだったので?
| |l\ 彳 ゞl \`ヽ '" ゙̄ヽ|│ | } '.
| ヽ\.\ \ ,r==ミ |│ |.丿 '. 「いえ、ラピスと一緒の時は、その……
ト 、 \\\ }l" , |│ | \ '.
| \ ヽl\`ハ . ' ,|│ | \ '. 逢瀬として誘ったわけではなかったから」
| , \丶、 イ_l│ |\ ヽ '.
| | │ l __>< ̄ヽ -< 厂} l | )==へ、 ぎこちないですねえ、もっとしゃきっとなさいな。
| | | { n ヽヽヽ }_厂} } l |¨´.: : : : : : :}. '.
| | | い ノ 〉ノ 丿 | :/: : : : : :.| '. やるならしっかりエスコートしていただかないと。
| | | ./ /oY´ ̄`ヽ /´: : : : : : : :.| '.
| l l ,′ ,くヽノ`ー / /: : : : : : : : :.:.| '.
/ /レ{ イ /{ } \__.ノ{´: : : : : : : : : : .:.:| '.
. ' /::/⌒ヽ/ ̄!<. } } }: : : : : : : : : : : : :| '.
' /:.:.{ / /: : \ } l: : : : : : : : : : : : :| 、 '.
/ く: : :| / ./: : : : ∧/ ノ:.: : : : : : : : : :..:ノ ヽ '.
/ 〉: :{ { /: : : : : : ∧ /.:.: : : : : :.「 ̄ ̄.! ヽ '.
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車椅子を押しながら、装飾品の店や衣服の店を訪れる。
日本で見られる、一般的なデート、いわゆるウインドウショッピングなどとは
違うが、これはこれで趣があった。
アンゼロットも興が乗ってきたらしく、ちょくちょくからかいを口にしながら
愉快そうに目を細めていた。
食事を楽しむことはできないため、とにかく目で楽しめるような店を選んでいると、
気づいたら女性用の衣服の店に入っていた。
店奥の年配の女性が微笑ましい視線を送ってくる。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5839 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 23:36:02 ID:NTpNp1NM0
〃/ } ヽ
/ / i i } | ,
' ′ l { i | | ′
l | | ' i | | l } |
| | { ∧ ヘ ムrヒ 7"{「 ̄| |
| | / | {/ __' { '_jノ _厶ニL _ | |
| |'{ | ィ'{「 __`j八 / ノ ;ノ乙心jノ| / r: 、
| . { , l ァァぅ, ハ / ‘;::::タ刈 |. / ′ |
{. ', ∧ '. |〈{ {:::hム ∨ ー '' ” | / ル ) 从 i ……ふむ、随分と少女趣味な店ですね。
. ‘. / ,ハ ヽム 弋:㌣ j/ ハ / } i
)' / V{ ハ 〈 u. / 厶ィ´ i こういう服を着てほしい、と?
/ \ ', __ , ′│ !
/ 人 `´ / .′/ | ! 「へっ? いや、ええと」
/ / > . / /}丁厂 ! l
/ / / >-=''" ̄`丶、/ j j ′ i │
. / 〃 /..:::::::::::::::::::::::::::::..\ リ j ′ ! |
/ / /..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..ヽ j/ i │
. / / /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∨ i |
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アンゼロットの瞳が困ったように揺れる。
確かに、店内に並べられた服は大人の女性の服というより、
年頃の少女がお出かけの際に着ていくような可愛らしいばかりだった。
アンゼロットの服を見る。黒を基調としたミニドレス、といったところだろうか。
白く控えめなフリルには凝った刺繍が施されており、小さな貴婦人といった
風情がある。要は硬派で、可愛らしさより女性らしさを引き立てる服装だった。
老齢の店主が奥のカウンターから「そこに試着室があるからねえ」と
にこにこしながら言ってきた。彼女の目に、自分たちがどう映るかが少し気になった。
だが、その見守るような眼差しから、あらぬ疑いはかけられていたりはしないと
確信し、やる夫は小さく決心した。
下↓3
1.淡い青色のチュニックを勧めてみる
2.シンプルなブラウスとスカートを勧めてみる
3.純白のタイトなドレスを勧めてみる
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5842 :安価のやる夫だお:2016/06/19(日) 23:40:06 ID:awDZyd7Y0 2 |
5843 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/19(日) 23:49:15 ID:NTpNp1NM0
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/ \
/ ⌒ ⌒\
/ ,(⌒) (⌒)、\
| /// (__人__)/// | ……じゃ、これとか……
\ ` ヽ_ノ /
ヽ , __ , イ 「はあ、こんな服、着なくなって何年経ってるとお思いで?
/ |_"____
| l.. /l´ `l 着てあげますけど」
ヽ 丶-.,/ |_________|
/`ー、_ノ / /
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所狭しと並べられた服の中から、上下セットになった服を手に取る。
胸元にリボンのようにフリルがついた白いブラウスに、ゆったりとした黒い
スカートだった。シンプルで、あまり飾り気があるとは言えないが、
それゆえの気品が感じられた。アンゼロットが着れば、可愛く見えるかもしれない。
アンゼロットに渡すと、渋々といった様子で受け取ってくれた。
車椅子を試着室という名の仕切りまで押し、そこまで行って、ふと気づいた。
「一人で着れますか?」
「ええ、まあ、どうにかなります。足が動かないだけで、他は動きますから。
座りながら着替えれば平気ですよ」
そう言うと、アンゼロットは座り込むようにして試着室へと入り、カーテンを引いた。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
5844 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:06:51 ID:2aJ0YlE20
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, -‐==≦7/`¨¨¨¨" <
/ ´ ′ ` 、
〃 / ; ヽ ヽ
レ' i ヽ ‘, ∨
/ ./ ,′ {. ‘,. ‘,
;′′′i{ { { { ‘, .i i i
{ i{ { .八 {__j__ .{ i 、 、 ̄「` 、! ! i
{ i{ 、 ./{Ⅵ\{人 {\lz斗=ミ| | :|
人八:. \ { ァ≠ミ、 `i ´Vr リ¦ .i :|
\ {ヾ 代r リ ` ´ .,' ; |
i ヾ.从 , , , 、 ' ' ' ′ ./ :|
|.! .! i.、 、 ノ i | ほら、着てあげましたよ。
从_i 个s。. イ | i | r 、
,. ´ニ' iヾー‐{〕≧ チr 7八 .| :| \\ _ お気に召しました?
/ニ二/ ノニニニLL}ー{」,/\ |__ :| ヽ ヾ7 .)_
/ニニニ/ /r――=ミ辷彡'ニニ≧ iニ≧.、 .i ' イ} }、
. ,;仁ニニ‐/./ニ,! (/,)´ ̄ ̄`ヽ{ |ニニニ\ 八 ヾノ、
{ニニニニ{/ニニ〈ー―==彡7` 、 、_ノ{ !ニニニニヽ. 〉、__ .}
人ニニニ,'ニニニ厂 ̄ / \ \ /ニ.、.ノニニニニ‐ム i 厂'ーァノー=ァ__
. ヽニニ{ニニニ`ー‐ 、 ′ __辷r'ニニムニニニニニニ ,' / / ̄}ー=ァ_j}
′ /ゞニ人ニニニニニヽ{{/´ニニニニ‐iニニニニニ‐ノ、 ./≧ ., _,ノ /´.ノ
/ ,仁ニニ‐}ニ=‐-‐=ニニ,'≧ 、ニニニニニノニ_ニ=--r ' ., ,ニニニ≧‐- イ
. / .,;仁ニニニ‐jニニニニニ'ニニニ=‐--‐=彡≦ニニニ〉 .‘,./ニニニニニニ‐ノ
/ ,;仁ニニニ/ニニニニニ7ニニニニニ7´ 「`マニニニ\ /二二ニニニニ/
. / .,;仁ニニ‐/ iニニニニニ7ニニニニニ‐7 :| 、ニニニニー彳二二ニニニ/
/ .iニニ=ミ' iニニニニニ'ニニニニニ7 :! :,\ニニニニノ二二ニニ/
. ′ !ニニニム 人ニニニニ7ニニニニニ‐7 | , \ニニニニニニ/
iニ>rzz,ム/ニニニニニ7ニニニニニ‐j} | ′ \ニニニ/′
レ'7」ー'ヽ '‐ニニニニニ'ニニニニニニ从 i| , `≪彡' ,
. i r{┘ _-ニニニニニニ7ニニニニニニニ-_ i| ′ , ′
i| ∩ノ _-ニニニニニニニ'‐ニニニニニニニニ-_i| }. ′レ'
.. 八. 乂,__,イ.マニニニニニ/\‐ニニニニニニニニ‐_. } } }
※心眼でお楽しみください
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一応、試着室に背を向けて待つ。
遠くには行かない。何か困ったことが起きた時、自分が離れていては
いけないだろう。
カーテン越しに、衣擦れの音と少し苦しげな声が聞こえてくる。
なにしろ座ったまま着替えているのだ、それも簡単に着られる類の服装ではない
ものを。心配になるが、カーテンを開ける気にもなれず、
悶々としながら待っていると声をかけられた。
カーテンを開けると、アンゼロットは座ったままで、やる夫を見上げてきた。
純白のブラウスを着たアンゼロットの姿は今までにないもので、新鮮だった。
アンゼロットはよく、黒い服を身に着けていた。
ああ、と溜息を漏らす。この人は、白い色も似あうんだな。
小さな感動が生まれる。
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5848 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:20:12 ID:2aJ0YlE20
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__,..'´ ̄ `丶、
, '" ̄ フ ̄l `ヽ \
/' / | ヽ ヽ
〃 ,イ | ! | l i
i' ,' l、 | l| | l、| | | ……着といてなんですが、あまり見ないでいただけます?
|l | | 」ム |ヘナ7メ、| | |
|| | ヽ. |ハ|=、ヽ、l 彳うミ、| | | なんだか、腰あたりへの視線が痛いのですが。
|ハ、 ヽ从l 化リ ` ゞ‐' | |ヽ l
ヽトトゝ 、 | レ' l それと、にやつきすぎです。怖いですよ?
| i、 r_, | | !
| | > 、 , イ | | l 「ご、ごめんなさい」
| | /ソ)T,.,_,.、jー| | |
/j |_l | レ',イムトr )| |.,..-┴..、
/:´l l::::::! '´ィ,'(_゚)、| |'::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::! l::::::| !/ イiヽ| |:::::::::::::::::::::::!
!::::::::::::| |:::/ヽ、 j '´||l| || |:::::::::::::::::::::::l
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白いブラウスと黒いスカートという組み合わせ自体は平凡だが、
アンゼロットの綺麗な金髪が白い布地によく映えていた。
指摘され、口元に手をやる。思い切りにやけていた。
これは是非もない。惚れた相手が目の前で着替えてくれたのだ。
嬉しくないわけがない。
「まったく、本当に度し難いですねえ。私の着替えを見て喜ぶなんて」
「そんなことないですよ、素敵です」
アンゼロットも満更でもないらしく、試着室に設置された姿見を見ながら
「ん、でも、これも中々」と小さくうなずいていた。
どうやら、気に入ってもらえたようだ。
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5849 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:22:21 ID:2aJ0YlE20
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5850 : ◆x0SRSoJXe.:2016/06/20(月) 00:23:20 ID:2aJ0YlE20
さて、短くて申し訳ないが、今回で一区切りだ。
次は来週の日曜……としたいが、イベントシーンばかりだし、暇を見て投下するよ。
遅くとも日曜午後十時くらい、と考えておいてほしい。それじゃ、シーユーアゲイン。モコイさん、ファイっ。
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